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兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

1.5倍の増収、所得2倍のトマト水耕栽培を実現!!


月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) その他の配布先
12/22
(火)

県立農林水産技術総合センター
(農業技術センター農産園芸部)
 
0790-
A47-2423
@47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(野菜担当)
秋山 隆
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ


 トマトの高収量、安定生産をめざし、1.3段花房収穫方式(3段摘心栽培)の導入、2.閉鎖型育苗装置でのトマト苗供給の実用化 の技術を組み合わせた高収量安定栽培技術を開発し、従来技術の1.5倍10a当たり収量30トン、所得2倍を達成しました。
1 技術開発の経緯

(1) 現状と問題点
・6段花房以上の果実を収穫する長段どり栽培※が一般的で、年間に1〜2回の作付け
・収穫が上位花房になるに従って、茎葉の生長に養分が取られ、花芽が減り果実数が減少したり、玉揃いが悪くなるなどの問題がある。また、茎葉の誘引等の労力も必要
・肥培管理等高度な栽培管理技術が必要で10a当たりの収量は20トンが限界
※幹の下から順に付く花房を6段以上収穫する栽培方式

(2) 目標
 栽培管理が平易な3段花房収穫方式(3段摘心栽培※)による年間30トンどり技術の開発
・良質苗の周年安定供給技術の開発
・省力安定生産が可能な培養液管理や整枝技術等の栽培方式の開発
※既存技術であるが苗の周年供給がネックとなり普及していない。トマトは1段目の花房が開花する頃には3段目までの花芽が分化している。1段目の花房の開花直前に定植することにより、定植後の環境変化にかかわらず、3段目までの果実は良質の果実が生産できる。また、密植が可能であり、3段目で摘心して栽培することによって、常に安定した高収量が期待できる。


2 開発技術の内容
 下記の技術を組み合わせることにより、年間3.5作が可能になり、年間収量30トンを実現することが出来ました。

○密閉室内で光、温度等の環境を人工的に制御する閉鎖型育苗装置を用い、季節を問わず約25日間で良質苗を安定生産する技術を開発
 炭酸ガス濃度1,000ppm、育苗トレイ1枚当たり32ワット型蛍光灯1.5本、明期16時間25℃、暗期8時間18℃の設定による、トマト苗(6,500株/1回)の周年生産を実用化
○水耕栽培に適する3段摘心栽培技術を開発
 ベッド間隔160cm、株間10cm(10a当たり6,250株)とし、日当たりを最良にするため茎を株交互に左右に振り分けて2条に誘引する栽培方式を開発
 また、本栽培技術に適する培養液管理法を開発
○経営収支                     (水耕栽培10a当たり)
栽培方式 収量 販売額 経営費 所得 労働時間
3段花房収穫方式 30トン 900万円 630万円 270万円 1,700時間
長段どり栽培方式 20トン 600万円 470万円 130万円 1,800時間
※閉鎖型育苗装置は、自作機を10年間使用するとして試算
3 本技術の課題
 7月〜9月の高温期には収量、品質が低下しやすいため、施設内の高温を抑制する技術が必要です。その対策として、細霧冷房等の技術開発に取り組んでいます。

4 本技術の導入に必要な資材、経費
○閉鎖型育苗装置・・・一般市販品は高額(約800万円/1台)なため、当センターでは自作(部品代約80万円/台)を推奨しています。製作にあたってのアドバイスも行っています。

5 本技術の導入対象
 本技術は、現在水耕栽培を行っている栽培面積10a以上の農家を重点対象として普及します。(県内に約20戸)
 また、工場的な生産を目指した革新的技術として、先進的な農家に導入を呼びかけます。(県内の10a以上のトマト栽培農家300戸)

(参考)
1 閉鎖型育苗装置
 密閉室内にて、光、温度、湿度など(蛍光灯、エアコン、送風、炭酸ガス供給)の環境を人工的に作り出し、底面給液によるかん水で育苗する装置のことで、季節や天候に左右されずに1年中、苗生産を行うことができます。
 トマト苗に最適な温度管理が行えるため、1段目の花の付く場所が2葉程度下がり、2週間の栽培期間短縮効果があります。
閉鎖型育苗装置
2 水耕栽培(薄膜式):培養液を薄い膜状に流して栽培する養液栽培の一方式です。
 従来からある水耕栽培方式で、栽培ベッドに苗を入れていくだけで定植でき、省力的で比較的安価に施工できます。
 水耕栽培は、土耕栽培で問題となる連作障害の回避可能です。

トマト薄膜水耕3段どり栽培
3 細霧冷房:施設内において、水を特殊なノズルを用いて細かい霧状にして噴霧し、気化冷却によって、施設内の温度を下げる冷房方式です。

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