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兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

遺伝子チップで野菜の細菌病を簡易、迅速に診断

月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
8月27日
(金)

県立農林水産技術総合センター
(農業技術センター 環境・病害虫部)
 
0790-
@47-2447
A47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(防除指導担当)
 相野 公孝
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ
北播磨県民局


 トマト青枯病等の細菌性病害※1は、顕微鏡では診断が困難なため、確定診断は専門の機関に外注し数カ月、数万円の経費を必要としていました。当センターでは、JA営農指導員や農業改良普及センター普及指導員が1日以内、数千円で病原細菌を調べることができる“遺伝子チップ”※2を用いた診断技術を他機関※3と共同開発しました。
 この技術を利用すれば、現場において直ぐ適切な防除対策が行え被害抑制の効果が高く、また、農薬使用の削減等にも繋がります。
 遺伝子チップは、今後3年程度での市販化を目指して技術開発を進めます。
※1:野菜類に発生する細菌性病害は、トマト青枯病のように株自体を枯らしてしまうなど生産への影響が激しく、また、病原菌は次の作へも土壌や資材を介してほ場に残ることが多いなど防除が困難な病害で、またその診断は細菌の外観が種類による違いがなく目視では不可能である。
※2:DNAの断片をプラスチック基板の上に固定したもの。DNAは2本の遺伝子で作られており、判明している遺伝子の片方を基板上に固定しておくと、検体のもう片方の遺伝子がそれに結合する性質も持つ。結合すると発色するように作られており、この作用により遺伝子の診断が可能になる。
※3:岐阜大学医学部、住友ベークライト株式会社、株式会社住化分析センター、株式会社中央微生物検査所


1 開発技術の内容と効果
 PCR反応※4に必要な各細菌に応じたプライマー※5及び遺伝子を反応させるための遺伝子チップ(1つのチップで88種類の細菌性病害、22種類(亜種も含め33種類)の細菌の判別が可能)を開発しました。また、同チップは目視で判別できる発色特性を備え、判別のための高価な器具が不要なのが特徴です。

(1) 遺伝子診断の手順 

※4:耐熱性のDNA合成酵素を用いて同定に必要な極少量のDNAを大量に複製する方法。
※5:主にPCR法でDNAを増やすときに使う20〜30の塩基の配列で、増やしたい部分の両端に結合する。

(2) 技術の効果
○ナス科青枯病、トマトかいよう病、野菜類軟腐病、アブラナ科黒腐病などは最短約5時間、1回の操作で同時に遺伝子診断することができます。
○病原細菌で汚染された土壌からの病原細菌検出も可能です。(トマト青枯病菌で実証済み)

2 当技術の実施上の留意点
○サーマルサイクラー(DNA増幅器:30〜50万円程度)があれば特殊な実験室がなくても実施することができます。
○PCRを行うには滅菌されたチューブやマイクロピペットのチップ等の器具が必要です。

3 コスト等
経  費 時  間
これまでの方法 30,000〜70,000円
(生物化学分析機関)
2〜6カ月
遺伝子チップ 未定(4,000円以内を目標) 約5時間(簡易な病害の場合)
4 今後の方針
○ハクサイやキャベツの斑点細菌病の様に種類によっては病斑の細菌量が少なく効率の良いDNA抽出法が必要であり、より簡易に抽出する方法を開発します。
○市販化に際しては、低コスト化を目指し作物や地域ごとに発生する病害に限定した遺伝子チップ(診断できる細菌性病害の数を絞り込む等)の検討を共同研究機関と行います。
○遺伝子チップの市販化とあわせて、農業改良普及センターや農協などで実施可能な技術として現地に普及します。

複数の細菌性病害を1度に遺伝子診断 しかも簡易、迅速(PDF:520KB)


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