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兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

樹高を高くしたいちじくで凍害防止を試験中


月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
12月24日
(金)

県立農林水産技術総合センター
(農業技術センター 農産園芸部)
 
0790-
@47-2424
A47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(果樹花き担当)
 福嶋 昭
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ
北播磨県民局


 県では都市近郊の立地を生かした農産物ブランド戦略として、西日本一のいちじく産地づくりを推進しており、既存産地の面積拡大、新規産地の育成に取り組んでいます。しかし、古くからの産地である神戸市や川西市以北の産地では年により、又は産地の一部地域で凍害により樹が枯死し、産地の拡大や生産の阻害を引き起こしていました。
 これらの地域では、従来稲わらで樹を覆う等の防寒対策が余儀なくされてきましたが、当センターでは、防寒資材を用いず凍害の発生を軽減するための仕立て方を検討した結果、いちじくの樹高を高くすれば(通常60p→180p)凍害を軽減できることを明らかにしました。
 今後は、凍害被害の軽減と作業性のバランスが取れた主枝高、高品質果実生産に繋がる肥培管理技術等総合的な防寒対策を組み立て、現地に普及できる技術として構築していきます。
  ※:いちじくは落葉果樹の中では最も寒さに弱く、樹液が動き出した4月以降によく冷え込む(0℃以下)地域では凍害を受けて地上部が枯れることがある。

1 技術の概要
主枝高 結果枝の誘引 植栽間隔 その他管理技術
研究技術 120又は180p 水平 条間4m×株間2m 同様に管理
慣行技術 60p 直立
2 実施結果の概要
 (1) 樹高の違いによる凍害発生状況等
○慣行樹高(60p)では凍害が発生し地上部が枯死したが、樹高を180pに上げた樹は枯死しませんでした。樹高120pでは中程度の凍害が発生しました。
○樹高180pの樹は収量が多く、果実の着色も比較的良好です。ただし、やや変形果が多くなりました。
主枝高 枯死樹率 新梢長 果重 収量(枝)
60cm(慣行) 100% 154cm 71.9g 1,078g
120cm 67% 44p 69.3g 503g
180cm 0% 93p 79.7g 1,355g
※当センターにおける2009年の防寒資材無被覆での試験栽培の結果。慣行樹は枯死したため防寒対策を施した健全樹の調査結果。120p区は凍害により樹勢が衰弱したため収量が低い。

 (2) 樹高の違いによるいちじく樹の表面温度
 1日のうちで最も冷え込む晴天無風時の夜明け前、主枝(上側)の表面温度は、慣行の樹高の方が放射冷却により低く、逆に日中には表面温度が高く、日格差の大きいことがより被害を拡大させたと考えられます。
主枝高 午前5時20分(外気温1.3℃) 午後2時30分(外気温19.2℃)
最高 最低 平均 最高 最低 平均
60cm(慣行) -1.9 -4.0 -3.2 44.4 24.4 35.6
120cm -0.7 -2.8 -1.8 43.4 24.0 33.2
180cm -0.5 -2.7 -1.7 43.0 23.8 32.8
  ※2009年3月11日当センター内調査
 (3) 当該技術の課題
○凍害被害軽減と栽培管理、収穫等における作業性のバランスが取れた主枝高の検討
○変形果の発生を抑える土壌水分及び肥培管理技術の検討

3 今後の対応等
○凍害被害を回避しつつ作業性の高い主枝高、栽培管理方法による果実品質の向上等を引き続き検討し、総合的な防寒対策として構築します。
○県内各地のいちじく産地及び新規開園地で実証試験を行い、現地適応性を検討します。



参考
   主枝高180p樹               主枝高120p樹 主枝高60p樹(慣行)

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