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兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

将来の技術を研究中 あぜ際から簡単・手軽に水稲の生育診断が可能に
−携帯式作物生育情報測定装置を活用−


月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
7月27日
(火)

県立農林水産技術総合センター
(農業技術センター 農産園芸部)
 
0790-
@47-2410
A47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(主作担当)
 松本 功
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ
北播磨県民局


 水稲栽培では、7月になるとほ場の中に入り茎の本数や葉の色を測定して生育を診断し、追肥の要否や量を決めています。この作業は、時間を要し、熟練した技術が必要です。
 現在、当センターでは新たに開発された“携帯式作物生育情報測定装置”を用い簡便・迅速に生育診断して、適正な施肥量等を判定する技術開発に取り組んでおり、近い将来、あぜ際から簡単、手軽に生育診断することも夢ではありません。

1 実証試験の内容
(1) 携帯式作物生育情報測定装置
 装置は、先端の光学センサ部と手元の制御操作(演算・表示)部で構成されています。
 測定は、センサ下部を作物側にかざすことで、センサ上部の太陽光の強度と作物からの反射光の強度を測定し、「NDVI」に基づいて生育診断します。 
  ※:植物の葉が可視光の赤領域の波長光(R)を吸収して近赤外線領域の波長光(IR)を強く反射するという特性を生かして、
     植物の生育量を指数化します。この数値を植生指数「NDVI」という。


リモートセンシング装置(作物生育情報測定装置)

リモートセンシング装置(作物生育情報測定装置)
畦畔からの測定状況
(2) 試験方法
 試験では、生育診断に基づき適正な追肥を行い、収量を増加させる方法を検討しています。手順は以下の通りです。
○田植2〜4週間後に、あぜ際に沿ってほ場全体へセンサを向けて、作物の反射光を測定。測定に要する時間は30e区画ほ場でほぼ1分
○1週間から10日後、同様の方法で反射光を測定し、前回測定値と比較して生育診断
○生育量の増加が少ないほ場に対して、窒素肥料を2〜4kg/10e追肥

2 現在までの試験結果
 生育診断結果に基づいて生育量が低位なほ場を特定し、出穂40日前をめどに窒素肥料を3kg/10e追肥したところ、75〜147kg/10eの増収効果を確認し、生育が高位なほ場の収量に近づきました。
グループごとの収量調査結果(2009年)
3 当該技術の将来性等
○多数のほ場を管理する集落営農組織や大規模稲作農家にとっては、農作業効率化が求められており、生育診断は技術と時間が必要なことからほ場の地力差にかかわらず田植同時施肥機を用いて一律に施肥することが多く、ほ場ごとの収量が不安定になっています。
○当該技術を用いると地力の違いによる生育量の差をあぜ際から簡単に診断でき、あぜから動力散布できる新しい肥料を用いて適正量を追肥することで、省力的かつ収量の高位平準化が期待できます。
○購入価格は1セットあたり約100万円ですが、収量の増加等で経営的に導入可能と考えられます。
○また、当装置で得られるGPSデータ(全地球測位情報)とGIS(地図情報)との組み合わせにより、パソコンや携帯端末を用いた効率的なほ場管理にも夢が広がります。
○太陽の反射光をもとに生育診断するため、現在、晴天の午前9時から午後3時の間に測定作業を行う必要がありますが、今後、実証試験を重ねることにより測定精度の改善等が見込まれます。

4 今後の方針
 農業改良普及センターやJAと連携して現地実証をを重ねて診断精度の向上を図り、現地適応性をさらに高めます。


(参考)
「携帯式作物生育情報測定装置」
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターが開発


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