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兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

亜リン酸肥料で黒大豆の連作障害を克服し収量増加

月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
7月27日
(火)

県立農林水産技術総合センター
(農業技術センター 環境・病害虫部)
 
0790-
@47-2447
A47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(防除指導担当)
 相野 公孝
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ
北播磨県民局


 丹波地域の黒大豆産地では、水稲と黒大豆を隔年で栽培する等連作を避けていますが長年の栽培により、土壌養分のアンバランスによる生育不良や土壌病害※など連作障害による欠株が増加し、収量が20%程度低下していました。このため現地からは、簡易で効果的な対策技術の確立が求められていました。
 当センターでは、海外でピーマンの生育促進効果が認められていた“亜リン酸肥料”に着目し、メーカと共に液体肥料を使いやすい粒状肥料に改良するとともに、同肥料を使用した黒大豆の生産性を高める肥培管理技術を国内で初めて実用化しました。
 この技術を使用するとリン酸肥料の吸収・利用が高まり着莢(ちゃっきょう)数・収量が増加するとともに、黒大豆が本来持つ病害に対する抵抗力が強化されます。篠山地域では、効果が高いことから本年は約210f(同地域の30%のほ場)で使用されるなど、普及が始まっています。
※:現地で問題になっている土壌病害には、茎疫病、黒根腐病、白絹病があり、栽培を続けると徐々に菌密度が高くなり、ひどくなるとほ場の半分が枯死し、収量が大幅に減少するなど大きな被害を与えている。


1 技術の内容と効果
(1) 内容
 2回の土寄せ・追肥作業時に亜リン酸肥料を株元中心に施用します。
1回目 2回目
使用時期
使用量
6月末〜7月初旬(1〜2葉期)
2kg/10e
7月中旬(5〜7葉期)
2kg/10e

(2) 効果
○莢数・収量が10%程度増加します。粒径もやや大きくなります(図1)。
○黒大豆の抵抗力が増し連作障害による欠株が7%→1%以下に減少します(図2)。
○上記の結果、10eあたり収量が約18%増加しました。
                                               (単位:10eあたり)
増加経費 収 量 販売額 所 得
慣行施肥+亜リン酸肥料 2,400円 273kg 41万円 21.3万円
慣行施肥 231kg 35万円 15.8万円
   *単価1500円/kg、所得率45%で計算  *亜リン酸肥料の施肥は、慣行施肥と同時のため新たな労力は生じない。
亜リン酸施用区の粒径別整粒重 亜リン酸肥料区での連作障害(茎疫病)の発生
             亜リン酸肥料施用 無施用
             亜リン酸肥料施用
         無施用
                                  亜リン酸施用ほ場の状況

2 当技術の導入対象等
○黒大豆栽培歴が長く、連作障害の発生しているほ場(県下1,400ha)を対象とします。
○セル成型苗の移植栽培の場合、粒状肥料を子葉期に25c/箱を散布する方法もあります。
   ※:小さいくさび形のポットが連結して並んでいるプラスチックトレイで育苗された幼苗

3 今後の方針
 県農産園芸課の事業により設置された現地実証ほ(H21年度県内5カ所)や農業改良普及センターとの連携により、全県に普及します。また、亜リン酸肥料は野菜などのセル成型苗での発根促進作用も確認されており、他作物での健苗育成の効果も検討します。

参考:
亜リン酸肥料の特徴
○亜リン酸は化学式(H3PO3)で普通のリン酸(H3PO4)に類似するが、土壌への吸着が極めて少なく作物への吸収が極めて良い新規物質
○肥料として登録済み(着莢・結実を促進、粒状と液状の2タイプ有り)
○吸収すると作物自身が元来持つ抗菌物質を増加させ、病害抵抗力も強化
○少量で効果を発揮するので低コスト
          粒状の亜リン酸肥料 粒状の亜リン酸肥料

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