文字サイズを変更 文字を標準サイズにする 文字を大きくする
兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

カラシナの辛味成分でホウレンソウの病害を防除

月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
6月29日
(火)

県立農林水産技術総合センター
(農業技術センター 環境・病害虫部)
 
0790-
@47-2447
A47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(防除指導担当)
 相野 公孝
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ
北播磨県民局


 夏季栽培のホウレンソウ産地では、難病害である萎凋(いちょう)病※1の発生が大きな被害を与えており、従来、農薬を使用しない防除方法として、熱水による土壌消毒※2が行われていました。しかし、熱水消毒は閉めきったハウスの中で95℃のお湯を土に注入するという過酷な条件での作業であること、ボイラーに大量の重油を使用することによる二酸化炭素排出の課題があり、人にも環境にも優しい防除方法が求められていました。
 当センターでは、有用な植物を用いてその殺菌力で病原菌を殺菌する防除方法に着目し、カラシナ※3を用いた土壌病害防除技術を国内で初めて実用化しました。

※1:カビによる病害で、土壌中に生息している病原菌がホウレンソウの根に感染し、植物を枯らす。夏季に栽培を続けると徐々に菌密が高くなり、ひどくなると収穫皆無となるなど大きな被害を与えている。
※2:ボイラーで95℃のお湯を作り、そのお湯(150g/u)を土に流し込み、消毒する技術。
※3:からし や わさび には殺菌作用があることはよく知られており、その殺菌力は含まれる辛味成分による。カラシナは名前のとおり辛味成分を多く含み、この成分はアリルイソチオシアネートといい、土壌中の植物病原菌を殺菌する作用がある。

1 技術の内容と効果
 カラシナの葉や茎を土にすき込み、水をためて管理することで病原菌を殺菌・防除できる技術で、カラシナの殺菌作用と土中の酸素不足による相乗効果を活用したものです。

(1) 技術の手順


(2) 技術の効果
○カラシナ混和区の萎凋病の発病株率は、熱水消毒の効果には及びませんが無処理と比較すると1作目では3分の1に抑制し、2作目は無処理の発病が少なかったものの、カラシナ混和区は全く発病しませんでした(図1)。
○萎凋病の発病が減少し、無処理に比べ収量が増加しました(図2)。
カラシナ混和の萎凋病防除効果 カラシナ混和がホウレンソウ収量に及ぼす影響


2 当技術の導入対象と実施上の留意点
○ホウレンソウを中心とした軟弱野菜のハウスを対象とする。
○カラシナの品種は辛味成分の多い「黄からし菜」を用い、播種量は0.5〜1g/u程度、カラシナのための施肥は不要です。
○すき込むカラシナ茎葉の量は5kg/u以上で、ホウレンソウ用の施肥は、カラシナすき込み時にまとめて実施する。
○すき込み時の地温は平均30℃以上で殺菌効果が高いので、高温期に処理する。
○被覆するフィルムはハウス天井用の使い古しのものを用い、フィルムの縁は鉄パイプなどですきま無く押さえる。

3 経費等
経  費 収  量 販 売 額
カラシナすき込み 種子代:2,700〜5,400円/10e 2,120kg/10e 152万円
熱水消毒   燃料代:約80,000円/10e
  機械使用料:70,000円/10e
2,330kg/10e 168万円
無 処 理 1,780 kg /10e 128万円
  *単価720円/kgで計算

4 今後の方針
 ホウレンソウ栽培の生産組合や農業改良普及センターと連携して、カラシナすき込みを核とした体系的な萎凋病防除実証試験を重ね、技術マニュアルを作成し、普及します。
 ホウレンソウ以外にもトマトの主要な土壌病害である根腐萎凋病にも有効であり、今後、これ以外の作物・病害の適用性を確認していきます。   
 
※本研究は、農林水産省委託プロジェクト「地域内資源を循環利用する省資源型農業確立のための研究開発」により、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構近畿中国四国農業研究センターとの研究協力で実施したものです。                                                                    

トップページへ