文字サイズを変更 文字を標準サイズにする 文字を大きくする
兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

ここまで分かった美味しい牛肉の秘密!!


月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
3月29日
(火)

県立農林水産技術総合センター
畜産技術センター
 
0790-
@47-2430
A47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(肥育牛担当)
 野田 昌伸
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ
北播磨県民局


 但馬牛は他県産の牛よりも美味しいと言われていますが、他県産牛に比べ“モノ不飽和脂肪酸※1”が多いなどの他は十分に分かっていませんでした。当センターでは神戸肉流通推協議会と共同で、牛肉の美味しさ成分(脂肪酸組成等)と人が食べて感じる“美味しさ”との関連を明確にし、但馬牛の美味しさを客観的にPRするとともに、さらに美味しい牛肉を生産する飼養技術を開発するため、一般公募のパネリストによる牛肉の食味試験(官能評価)を2年間実施しました。その結果下記のことが新たに分かりました。
 また、今回の試験で美味しさに関係のあるアンセリン※2、モノ不飽和脂肪酸が同レベルであっても県外産牛よりも県内産牛の食味評価が高かったことから、これらの成分以外にも美味しさの秘密があることも分かりました。
 今後、さらに美味しい牛肉を生産する飼養技術の開発や県内産牛の美味しさの解明を進めます。

   ※1:脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、さらに不飽和脂肪酸には“モノ”と“多価”がある。
      同脂肪酸は不飽和結合(二重結合)を一つもつ脂肪酸で、オレイン酸、パルミトレイン酸などがあり、牛肉の風味に影響する。
   ※2:ヒスチジンとアラニンという2つのアミノ酸が結び付いたジペプチドで、今まで食味評価との関連は報告されていない。


1 実施結果
(1)牛肉の美味しさにはアンセリンが関係していることを、世界で初めて発見した。
 赤身の成分であるアンセリン濃度が多くなると食味総合評価が低くなることを世界で初めて発見し(図1)、このことを日本畜産学会で発表します。
アンセリン濃度と食味評価の関係
                          図1 アンセリン濃度と食味評価の関係
(2)モノ不飽和脂肪酸割合は60%前後が最適である。
 牛肉の風味に影響するオレイン酸などのモノ不飽和脂肪酸割合(脂肪酸全体に対する割合)は、従来から高いほど良いと考えられてきましたが、60%前後で総合評価が高くなることが分かりました(図2)。
モノ不飽和脂肪酸(MUFA)割合別の食味評価
図2 モノ不飽和脂肪酸(MUFA)割合別の食味評価
(3)県内産牛(但馬牛)は県外産牛よりも美味しい(特にしゃぶしゃぶ)。
 アンセリン濃度、モノ不飽和脂肪酸割合がほぼ同じ県内産牛と県外産牛(表2)の食味評価では、県内産牛の方が高くなりました。特に煮肉(しゃぶしゃぶ)で顕著な差が見られました(表3)。
 今後はこれらの成分以外の美味しさ成分は何なのか、引き続き研究します。

(4)枝肉重量は大きすぎないものが良い。
 枝肉重量が大きくなると食味評価が徐々に低くなる傾向が見られたことから、重量は大きすぎないものが美味しいと考えられます。(神戸ビーフの条件は枝肉重量の上限を470`と定めており、この結果により技術的な裏付けができました。)

(5)県内産牛(但馬牛)は枝肉格付が低いものであってもサーロイン部の霜降りが多い。
 枝肉格付はリブロース(胸部第6,7肋骨間)で判定され、多くの牛はサーロイン(腰部)に行くほど脂肪交雑が少なくなりますが、県内産牛(但馬牛)は枝肉格付(BMS No. )が低いものであってもサーロインの粗脂肪含量が多いことが確認できました(図3)。

    ※:牛肉の脂肪交雑基準(霜降り度)でNo.1〜12まであり、数字が大きいほど含まれる脂肪が多くなる。
      粗脂肪含量は脂肪交雑と連動しており、脂肪交雑(BMSNo.)6以上が神戸ビーフの条件である。
脂肪交雑(BMSNo.)と粗脂肪含有量の関係
     図3 脂肪交雑(BMSNo.)と粗脂肪含有量の関係


2 今後の研究方針
○食べて美味しい牛肉の条件が明らかになったことから、残る3カ年の研究期間の中で、モノ不飽和脂肪酸割合を60%前後とする飼養技術を開発します。
○平成23年度からアンセリンの簡易測定法の開発とアンセリン濃度と給与飼料との関係の調査に取り組みます。
○県外産牛に比べた県内産牛肉の美味しさ成分(アンセリンやモノ不飽和脂肪酸以外)等を引き続き解明します。


(参考)
1 試験の実施方法
 (1) 実施期間:平成21年9月〜平成23年1月  12回
 (2) 供試材料:黒毛和種去勢牛の腰最長筋(サーロイン)
  43検体(県内牛(但馬牛)34検体、県外牛9検体、対照牛(但馬牛)3検体)
 (3) 調理方法:焼肉は厚さ1.0a×2.5a×4.0aの牛肉を220℃に加熱したホットプレートで表面60秒、裏面60秒加熱。煮肉は厚さ4_で
  約15cのスライス牛肉を沸騰した湯に入れ10秒間加熱。
 (4) パネリスト:一般公募し基本味の識別テストで選抜したパネリスト18〜33人(平均24.7人参加)
 (5) 評価方法:やわらかさ、多汁性、脂っこさ、風味、甘味、うま味および総合評価(美味しさの総合的な評価)の7項目について、あら
  かじめ評価値を設定した対照牛肉に対する8段階による比較評価。
 (6) 成分分析:牛肉の粗脂肪含量、脂肪酸組成、遊離アミノ酸含量、ジペプチド含量およびイノシン酸含量。
2 パネリストの応募状況
 国内で初めて牛肉の食味評価パネリストを一般公募し、応募者の中から五味識別テストにより味に敏感なパネリストを選抜し、牛肉を食味評価していただきました。


表1 五味識別テスト成績
年度 性別 応募者数 合格者数 合格率
21 男性 24 12 50.0
女性 21 15 71.4
45 27 60.0
22 男性 42 12 28.6
女性 40 20 50.0
82 32 39.0
   22年度は合格者の中から男性8人、女性17人を選抜
 ※:味の基本と言われる「甘味」「苦味」「酸味」「塩味」「うま味」の五味の希薄溶液に蒸留水3個を加えた計8個の検液を識別するテストで、
     2回のテストでそれぞれ五味中の誤数が1つ以下であれば合格とした。

トップページへ