文字サイズを変更 文字を標準サイズにする 文字を大きくする
兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

光を用いたイチゴうどんこ病の防除システムが「農業新技術2010」に選定される

月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
5月27日
(木)

県立農林水産技術総合センター

 
0790-
@47‐2447
A47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(防除指導担当)
 相野 公孝
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ
北播磨県民局


  農林水産省は、全国の研究機関が開発した技術の中から早急に現場に普及すべきものを毎年「農業新技術」として選定しています。今回、全国で約100技術の候補の中から、当センターとパナソニック電工鰍ェ共同開発した「タフナレイ」を用いた“イチゴうどんこ病の発生を抑制できる病害防除システム”が農業新技術(6つの内の一つ)に選定されました。
 なお、選定された技術はイチゴ苗の定植後に紫外光を予防的に照射する技術※1です。この度、育苗中の苗への照射効果を確認※2できたことにより、育苗期から生育・収穫期まで適用可能な環境に優しい防除技術として確立しました。
 ※1光の照射により植物に病害抵抗性を付与。   ※2京都市内で開催される関西病虫害研究会(5/28)で発表予定。


1 光を用いたイチゴのうどんこ病の防除システムの概要

 イチゴうどんこ病はうどんこ病菌(カビの仲間)による病害で、白いうどん粉をまき散らしたような症状が特徴です。夏期を除く年中発生し、葉、果実、花弁、果梗(果実の付いた茎)に発生します。うどんこ病菌に薬剤が効きにくい場合が多いため、効果が上がらず、果実に大発生すると収穫皆無となるなど大きな被害を与えていました。
 省力的で農薬のみに頼らない防除法として、光による病害防除技術の開発に取り組み植物病害防除用照明装置「タフナレイ」を開発しました。

(1) 技術のポイント
○イチゴに対して、紫外光※3を予防的に照射することで、紫外光から受ける適度なストレスで病害抵抗性※4を獲得し、うどんこ病に罹(かか)りにくくなる。
 ※3紫外線(UV-B)の波長域は280〜315nm ※4紫外線を受けた植物体はキチナーゼ等の病害抵抗性に関与する物質を生成
○専用の光源「タフナレイ」を10eあたり約30台(育苗床は1eあたり約6台)、光源からイチゴまでの距離は2b(同1.6〜1.7b)に設置。育苗期間中及び定植して苗が活着後から収穫終了の生育期間中、午前9時〜午後3時までの6時間照射する。

(2) 技術の効果
○場内試験結果からタフナレイを併用すると育苗期の発病が殺菌剤単独使用に比較して5%に抑えられる(最大の効果時)。また、本ぽに定植後、予防的にタフナレイを用いると、殺菌剤(散布剤)単独使用に比較して、発病を0〜24%に抑制した。
○21年度、現地で実証試験を行った結果、神戸市西区では農薬使用量をほぼ5割削減しても慣行栽培(殺菌剤散布)とほぼ同程度の発生に抑えることができた。

図1 促成栽培イチゴにおける年間栽培管理

参考

1 タフナレイ装置の概要
○タフナレイをほ場に設置し(標準施工で高さ2m、間隔5m)、イチゴの植え付け後発病前に午前9時〜午後3時までの6時間照射する。
タフナレイの装置 ほ場への設置状況
 タフナレイの装置 ほ場への設置状況
2 タフナレイのコスト
○初期導入費用としての経費は、機器費(工事費別)約120万円/10e(耐用年数は、光源は2年、それ以外は約10年)
○年間維持費は、光源代(更新)、電気代で、約20万円/10e。
○今後、量産が進めば、導入費用も下がる見込み。
○本装置の導入により、殺菌剤の散布が抑えられるため農薬代が節減(5〜10万円/10e)できる見込み。

3 タフナレイ使用上の注意
○うどんこ病は、発病してからの照射では効果が劣るので、できるだけ、発病前から照射する。既に発病している場合は化学農薬を散布してから使用する。
○殺菌効果ではなく、イチゴを丈夫にしてうどんこ病が発病しにくくする作用であるため、万一発病した場合は、発病葉率10%、発病果率5%を超えた場合は殺菌剤散布を行う(防除の一応の目安:要防除水準)。
○イチゴの生育状況、気象条件等でタフナレイの効力には年次変動を生じることがあるので、注意が必要である。
○タフナレイは朝9時から午後3時までの6時間点灯を基本としている。点灯中はハウスに入らない。作業のためにハウスに入る場合は、スイッチを切る(日焼け防止)。
○導入に当たっては製造メーカーであるパナソニック電工鰍ノ問い合わせること。

4 育苗期の使用効果

図2 育苗床におけるタフナレイ(UV)照射によるイチゴうどんこ病発病抑制効果
育苗床におけるタフナレイ(UV)照射によるイチゴうどんこ病発病抑制効果
     2009年6月から9月まで、タフナレイを照射して、イチゴの葉におけるうどんこ病の発病程度を非照射(無処理)と比較した。
    8月の盛夏期は気温が高かったためうどんこ病が一旦は消失した。気温が低下し始める8月下旬以降再び発病が増加したが、
    照射区は発病を大幅に抑制した。
     タフナレイ照射開始後、照射・非照射に関わらず、2回の農薬散布を行った。農薬散布だけではうどんこ病を抑制できないが、
    タフナレイとの併用によってうどんこ病を抑制できた。
      ※発病度は葉の発病面積率を按分して算出した発病の程度を表す数値。数字が大きいほど発病程度が甚大。
        ・非照射の苗に比べて5〜15%程度にうどんこ病の発生を抑制
        ・これにより、定植後のうどんこ病防除回数の低減が期待

5 製品に関する問い合わせ先

パナソニック電工株式会社 照明事業本部 施設・屋外照明事業部
 屋外商品企画グループ 新事業推進チーム タフナレイ担当者
〒571-8686 大阪府門真市大字門真1048
06-6908-1131(大代表)
http://denko.panasonic.biz/Ebox/tafna-ray/contact/
トップページへ