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兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

新たな生物農薬「飛ばないテントウムシ」でアブラムシ防除

月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
11月26日
(金)

県立農林水産技術総合センター
(農業技術センター 環境・病害虫部)
 
0790-
@47-2447
A47-2400
所長 和田 眞由美
@研究主幹(防除指導担当)
 相野 公孝
A主幹(広報情報担当)
 井上 智
県政記者クラブ
北播磨県民局


 テントウムシはアブラムシ類の天敵(捕食)として知られていますが、積極的な防除手段として利用する場合、飛翔してハウスの外に出てしまうなど定着性が問題でした。その欠点を解消するため、近畿中国四国農業研究センターでは「飛ばないテントウムシ※1」を選抜しました。
 現在「飛ばないテントウムシ」の実用化を目指して共同研究※2を行っており、当センターは“施設栽培イチゴのアブラムシ類に対する利用技術の確立”を実施しています。これまでに、防除効果や放飼のタイミング、イチゴ栽培ほ場で使われる化学農薬によるテントウムシへの影響等を調査した結果、防除効果が高く、実用化まであと一歩になりました。
 「人と環境にやさしい農業」を推進する技術として、小さなテントウムシの活躍に期待が高まっています。
※1:飛翔能力の低いナミテントウどうしの交配を繰り返して、「飛ばないテントウムシ」として選抜。
※2:兵庫県、大阪府、奈良県、和歌山県、徳島県の農業関係試験研究機関、近畿中国四国農業研究センター、岡山大学及び潟Aグリ総研が新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業「多種多様な栽培形態で有効な飛ばないナミテントウ利用技術の開発」により実施。


1 技術の内容
(1) イチゴのアブラムシ類に対する防除効果と放飼のタイミング
 ○防除効果
 「飛ばないテントウムシ」の放飼(成虫:2頭/u)は、アブラムシに対して長期間高い防除効果を示しました(放飼1カ月後の無放飼比で20%以下)。
放飼時(1/15)の
アブラムシ頭数
放飼1カ月後(2/19)
のアブラムシ頭数
備  考
テントウムシ放飼 50頭/株 125頭/株 アブラムシの排泄物を原因とするスス病の被害が目立ち始める200頭以下/株が防除目標
無放飼 676頭/株
 ○放飼適期
アブラムシの発生量が株あたり50頭を超えない時期(50頭を超えた場合は、放飼回数を増やして対応する。)

(2) 化学農薬等による影響
 イチゴ栽培の主な病害虫であるうどんこ病、ダニ防除に使用される化学農薬によるテントウムシへの影響を調査したところ、次の結果を得ました。
 ○殺菌剤:影響はない。
 ○殺虫剤:「飛ばないテントウムシ」に対して高い殺虫効果を示すものがあるが、気門封鎖型殺虫剤(デンプン液等)ではまったく影響がなく、併用可能である。(参考)

2 今後の方針
 ○「飛ばないテントウムシ」は現在、アブラムシ類に対する生物農薬※3として農薬登録に向けて準備段階にあります。共同研究機関によりナス、コマツナ等7種類の作物で試験が実施されており、野菜類(施設)で利用可能な登録を目指しています。登録の取得は早ければ平成24年春頃の見込みです。
 ○栽培環境やアブラムシ類の発生状態の違う様々な現地で使用されることを想定して、簡便な放飼方法、放飼タイミングの見極め方、アブラムシ多発生時の対応方法等を開発し、天敵利用を基幹としたIPM(総合的病害虫・雑草管理)※4体系の確立を目指します。
※3:農薬としての目的で利用される生きた生物をいう。生物としては、昆虫、線虫、菌類などが中心。
※4:IPM(Integrated Pest Management の略で総合的病害虫・雑草管理)とは、化学農薬の使用も含む利用可能な全ての防除手段を検討し、適切に組み合わせることにより、農作物の被害を防ぐとともに、人の健康に対するリスクと環境への負荷軽減を最小限にしていこうという取り組み、考え方。


参考
1 イチゴ施設における飛ばないテントウムシの効果
飛ばないテントウムシを放飼したイチゴ施設におけるアブラムシの密度推移
                    飛ばないテントウムシを放飼したイチゴ施設におけるアブラムシの密度推移


2 化学農薬への影響
飛ばないテントウムシ成虫に対する各種薬剤の影響
                          飛ばないテントウムシ成虫に対する各種薬剤の影響


3 飛ばないテントウムシ(種類:ナミテントウ)
飛ばないテントウムシ成虫
飛ばないテントウムシ成虫

卵 幼虫
         卵                幼虫

外見は普通のテントウムシとまったく同じ

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