兵庫県立農林水産技術総合センター
お知らせ -記者発表-

無線伝送式pHセンサーを使って乳牛の第一胃内pHの連続測定に成功

月/日
(曜日)
事務所等名 電 話 発表者(担当者) 配布先
3月21日
(水)
県立農林水産技術総合センター
淡路農業技術センター畜産部
@0799-
42-4880
A0790-
47-2400
所長 渡邊大直
@淡路農業技術センター
畜産部長 野田昌伸
A研究主幹(広報・知的財産管理担当)小林尚司
・北播磨県民局
・淡路県民局
・県庁記者クラブ


 淡路農業技術センターでは、牛の第一胃(ルーメン)内に投入して無線で胃内のpHを測定する無線伝送式pHセンサー(ルーメンpHセンサー)を用い、乳牛の第一胃内pHの長期連続測定に世界で最初に成功しました。ルーメンpHセンサーは岩手大学と山形東亜DKK株式会社が共同で開発し、当所において実証試験を行い、その実用性を明らかにしました。
 本機を用いることで、pH測定の度に牛の口を介して胃液を採取する必要がなくなり、今回、分娩前後の長期にわたり連続したpHの変動を把握することができました。pH5.6以下が続くと牛に悪影響があります(図参照)。
乳牛は改良が進み、泌乳能力が向上してきましたが、本技術は乳牛の生産性の維持と健康を両立させる飼養技術の開発におおいに役立つものと期待されます。

取材の対象:ルーメンpHセンサーと本機を胃に投入した牛
      測定の状況、記録データ
取材の日時:随時(事前に相談願います。)


無線伝送式ルーメンpHセンサーのシステム構成 牛舎における測定
測定データの例(飼料給与により一時的にpHが低下する)


【参考】

1 背景と経緯
(1)牛の独特な消化システムと乳牛飼養の問題点
牛には4つの胃がありますが、中でも第一胃(ルーメン)は成牛でドラム缶一本分に匹敵する容積を持ち、そこに生息する微生物の働きにより、牧草などの飼料を発酵分解することでエネルギーを獲得しています。しかし、最近の乳牛は高能力化により大量の乳を生産するため、そのエネルギー源として穀類などを多量に与えられており、それにより発生する大量の発酵酸がルーメン内のpH(酸性度)を適正範囲以下に低下させ、病的状態(ルーメンアシドーシス)に陥りやすいという問題点を抱えています。

(2)ルーメンpHセンサーの開発
 ルーメンpHを測定するためにはその都度胃液を採取しなければならず、長期連続観察は不可能でした。そこで、岩手大学と山形東亜DKK株式会社が共同で世界初の無線式ルーメンpHセンサーの開発に着手し、当所はその現地実証試験に関わりました。

2 開発技術の内容
(1)ルーメンpHセンサー
ルーメンpHセンサーは牛への経口投与が可能な砲弾型筐体(きょうたい)にガラス電極式pHメータと温度測定素子および特定小電力無線の送信機とを内蔵したもので、市販のノートPCにUSB接続した受信機を介して測定データ等の送受信ができます。本測定システムに関しては、国内外の学会で高い評価を得ています。

(2)ルーメンpHセンサーを活用した乳牛研究
ルーメンpHセンサーの実用性を確認するため、当所では飼料内容が大きく変動する分娩前後の牛のルーメンpHを長期連続観察したところ、飼料給与後のルーメン液pHの低下や分娩後の高エネルギー飼料の給与に伴う長期にわたるルーメン液pHの低下傾向などの生理的変動を適確にとらえることができました。
当所では、この測定システムを用いてルーメンアシドーシスの実態を解明し、その発生を防止しながら高い生産性をあげられる飼料給与方法などの乳用牛飼養技術の開発に取り組んでいます。


トップページへ