兵庫県立農林水産技術総合センター

センター雑感

当センターの各部署が順に担当して、季節の風景や出来事など様々な話題を紹介します。
 今月は 北部農業技術センター 畜産部 課長 坂瀬 充洋が担当します。
 「暑いですなぁ~。」「いやぁ~、朝から暑いねぇ。」今年の夏はどれだけこの言葉を交わしたことでしょう。皆さんもきっと知人に出会った時のあいさつについ言ってしまったのではないでしょうか?
 この異常なまでの猛暑の中、世界の舌を魅了する神戸ビーフの素牛である兵庫県の至宝「但馬牛(たじまうし)」の遺伝資源を守るため、職人さん達の手によって着々と施設整備(牛舎の改築、消毒システムの導入など)が進められ、ついに9月20日に施設完成の運びとなりました。関係者の皆様にお礼申し上げます。
 本施設整備の目的である「但馬牛の遺伝子を守る≒種雄牛を守る」ことについて少しお話ししましょう。国内の和牛改良は、種雄牛を中心に行われています。とりわけ但馬牛は、他県から種牛(種雄牛・繁殖雌牛)を導入せず(血を入れず)、代々兵庫県生まれの種雄牛と繁殖雌牛の交配で純血を守ってきました(但馬牛の定義でもあります)。現在では、県内13,000頭の但馬牛繁殖雌牛と数十頭の種雄牛で但馬牛の改良を進めています。その種雄牛の飼養管理を兵庫県が任されています。今までは、加西市にある畜産技術センターに33頭の種雄牛が飼養され、当センターで7頭の種雄牛と将来の種雄牛候補である育成雄牛30頭ほどが飼養されていました。平成22年4月、宮崎県で畜産業界がもっとも恐れている伝染病「口蹄疫」の発生がありました。宮崎県では種雄牛も含め、たくさんの牛や豚が殺処分されました。この発生以降、兵庫県でも危機管理体制の構築ということで、海外の悪性伝染病から改良の中心である種雄牛を守るという使命のもと、施設整備が行われました。新たな体制は、当センターで種雄牛33頭と育成雄牛30頭を、畜産技術センターで種雄牛7頭を飼養することになりました。防疫体制を強化するため、当センターの敷地はフェンスで囲われ、衛生管理区域(牛のいるエリア)には職員以外は立ち入りできないようになりました。職員も衛生管理区域内と区域外で衣服を使い分け、消毒をしてから衛生管理区域に入ります。そして、本事業の終わりを飾る一大イベント、種雄牛の大移動が10月3日と4日の両日に実施されました。トラック2台を使って、1日2往復します。牛たちにとって、片道60kmの道のりは、かなりのストレスです。職員もこの2日間は緊張の連続で、無事に移動が終了するか不安でした。最後の1頭が牛房に入った時には、全員が安堵の表情に変わりました。皆さん、お疲れ様でした。
 種雄牛達よ!お疲れ様です。まずはゆっくり休んで下さい。そして早く環境に慣れて頂こう。
 職員の皆さん!世界中から注目されている但馬牛の雄牛を60頭も管理するという重大な任務を仰せつかりました。気を引き締め直して、一丸となって但馬牛の遺伝子を守っていきましょう。

完成直後の新種雄牛舎内の光景


北部農業技術センターに到着後、元気に飛び降りる種雄牛T


移動完了後の新種雄牛舎内の光景
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