兵庫県立農林水産技術総合センター

センター雑感

ミニトマトの不思議
  当センターの各部署が順に担当して、季節の風景や研究推進上の出来事など様々な話題を紹介します。
    今月は、北部農業技術センター 農業・加工流通部 部長 永井 耕介 が担当します。
 ミニトマトは小さくて可愛いミニ(mini)とトマト(tomato)を組み合わせた和製語です。欧米ではチェリートマト(cherry tomato)と呼ばれています。重さは普通トマトの1/6~1/10で、15~20gですが、普通トマトに比べて、優れている点はたくさんあるのです。まず甘味、酸味など味が濃厚です。栄養豊富という点では普通トマトに比べて100g当たりビタミンCは2~3倍、ビタミンA(βカロチン効果)は約2倍、タンパク質、食物繊維は約1.5倍、ミネラル含量は1.2倍等です。

 ところで、皆さんご存じでしたか。実はトマトが初めて地球上にお目見えしたのはミニトマトの形態だったのです。その後、果実を大きくするよう品種改良が行われ、今日のように大きな実になったのです。
 日本で今日ほどミニトマトが広く一般に食されるようになったのは昭和50年代です。とりわけ昭和50年代の後半は毎年100%以上の増加率で卸売り市場への出荷量が増えていきました。ではなぜ、この時期にミニトマトの消費量が急激に増えていったのでしょうか。この時期は普通トマトにとっても大きな転換点でした。完熟トマトの販売が始まり、トマトは明らかに量よりも質とりわけ味が重要視されるようになりました。その中でミニトマトは最初から販売形態が完熟果で、日持ち性や輸送性が優れているので、味を重視した完熟果時代にはいち早くとけ込めたのです。また、味が濃厚で子供たちにも好まれたこと、弁当、サラダや飛行機の機内食の具材として切らなくても使える簡便さ、色の鮮やかさ、さらには珍しさも追い風となりまさしく、消費者ニーズに「ピッタリ」だったのです。でも、なぜこんなに素敵なミニトマトがもっと早く「ブレイク」しなかったのか不思議です。

 ミニ野菜は可愛いことや珍しい等でトマト以外にもキュウリ、キャベツ、大根、ニンジン、ナス、タマネギ、ベビーリーフなど種類はその後も増えてきていますが、消費量からみてミニトマトはまさしくミニ野菜の王様的存在です。ただ、ミニトマトは果実が小さいので、収穫に多くの労力を要します。もし、ブドウのように房で収穫できれば・・・・。そんな願いをかなえて誕生したのがグレープトマト(房どりミニトマト)です。ミニトマトは果房の中でも最も茎側の果実が最初に色づき始めます。色づき始める直前にその果実からエチレン(成熟ホルモン)が発生するので、そのエチレンを逃がさないように袋をかければ、房全体が同時に色づきグレープトマトのできあがりです。食卓で房からもぎ取って食べるミニトマトはいかが?
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