兵庫県立農林水産技術総合センター
私の試験研究
当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
 今月は、淡路農業技術センター 主席研究員 竹川 昌宏 が担当します。

大型コンテナを使ったタマネギの収穫、搬出、乾燥体系

 「淡路島たまねぎ」は甘くて柔らかくおいしいブランドタマネギとして知られていますが、近年、生産者の減少や高齢化等による労働力不足は深刻で、生産性の向上が大きな課題となっています。そこで、特に重労働となるタマネギの収穫から乾燥に至る工程を省力化するため、500kgのタマネギを収納できる大型コンテナを利用した収穫、搬出、乾燥のための機械設備の改良、実証を行い、機械化体系を確立しました。
1.大型コンテナを導入した収穫・搬送体系
 従来の収穫は、掘り取り機で掘り上げた後、20kgポリコンテナに詰め込んでいますが、ポリコンテナの持ち上げ、運搬は重労働です。そこで、大型コンテナを導入し、収穫、運搬の機械化、省力化の実証を行いました。
 タマネギを大型コンテナに収穫するには、小型の歩行型ピッカー1台(取得価格200~250万円)と追従型運搬車1~2台(取得費用約1台100万円)をセットで使う方法(写真1)と、乗用型ピッカー(取得価格約1,000万円)を使用する方法(写真2)があります。追従型運搬車は、この試験でメーカー(ヤンマーアグリジャパン)と共同で改良し、市販されています。歩行型ピッカーと追従型運搬車を使用する場合、1シーズンあたり3haまでの作業が可能となります(表1)。一方、乗用型ピッカーでは9haまでの作業が可能となり、より大規模経営に適しています(表1)。
 なお、共同を含め、70a以上の規模があれば、歩行型ピッカーと追従型運搬車を使用する体系が、最もコストがかかりません。乗用型ピッカーではコストは高くなりますが、人が圃場内を歩かずにすむので、作業強度は軽減されます。



2.簡易型差圧通風方式による大型コンテナに収納したタマネギの乾燥
 従来のタマネギの乾燥は、20kgポリコンテナに詰め込んでハウスなどで乾燥させていますが、大型コンテナに収納したタマネギは、大容量のファン(「空っ風君」、TOMTEN)で空気を吸引することにより、コンテナ内に均一に風を通して、タマネギを乾燥する「簡易型差圧通風法」によって一度にたくさん乾燥させることができます(図1)。この方法は、まず、葉鞘部を10cm残して切断した収穫後のタマネギを大型コンテナに詰め、ファンの両側にコンテナを積み込みます。次に前部、後部、上部を農業用ポリエチレンなどのフィルムで覆い、側面からのみ風が入るようにして、ファンを回転させます。乾燥させる風速は空気取り込み口で0.3m/s以上の風が流れるように回転数を調節します。タマネギの葉鞘部が乾燥(水分含有率55%以下)したときが乾燥終了で、約10日間でタマネギは乾燥できます(図2)。使用するファンは空っ風君(TOMTEN)以外では、羽根径が大きな(60cm以上)畜産施設用換気扇などでも乾燥可能です。「空っ風君」では96基、羽根径1mの畜産施設用換気扇では24基のコンテナを乾燥できることが確かめられました。コンテナを並べる時の長さは縦に10基程度まで並べることも、横は2列、3列に並べることも可能です。積み上げる段数は2~4段が適当です。
 大型コンテナによる乾燥は、110a以上の規模があれば、上記の自家乾燥施設を導入する方が、農協などに委託して乾燥するよりコストがかかりません。


3.技術導入にあたっての留意点:
① 大型コンテナを個人で導入した場合でも一定の労力削減が期待できます。
② 共同選果場等の荷受け先で大型コンテナの受け入れ態勢が整備されることにより、大幅な労力削減とともに、出荷したタマネギの淀みない流通が可能となります。
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