※ 水平方向の揺れは加速度の値が小さいほど揺れが少ないことを示し、鉛直方向は加速度の値が1に近づくほど揺れが少ないことを示す。

  私は水産技術センター増殖部で、主にアサリの増養殖研究に取り組んでいます。

 兵庫県における天然アサリの漁獲量は1990年代後半から激減し、それを補うように全国に先駆けてアサリの垂下養殖が西播海域を中心に行われてきました。アサリの養殖はコンテナに砂を敷いてアサリを収容し、食害防止用ネットを取り付けて、いかだから海面下2~3mに垂下して行われます。アサリは垂下養殖すると著しく身入りが良くなることから、需要は高まっています。しかしながら、いかだ式養殖は構造上、内湾などの静穏海域に限られ、波浪域でも養殖できる技術開発が求められていました。













 波浪域でアサリを垂下養殖する方法として、海面に1本の長いロープを張って、一定間隔に浮きを取り付けてロープを浮かし、両端をいかりで固定し、長いロープにコンテナを固定してアサリを養殖する延縄式養殖方法が考えられました。















 波浪域なのでコンテナ内に敷き詰めた砂が流出する可能性が考えられました。そこで、静穏域のいかだ式養殖で用いられているコンテナ(浅型:高さ11.5cm)とそれよりも高さが高いコンテナ(深型:高さ17.0cm)を用いて砂の流出を比較しました。














その結果、いかだ式養殖で一般に用いられている浅型コンテナでは、コンテナに敷き詰めた砂が4割流出してしまいました。一方、深型コンテナは砂の流出は1割に留まりました。このことから、波浪域での延縄式アサリ養殖には深型コンテナを使用すれば良いことが明らかになりました。

次に上記の試験結果から深型コンテナを使用して垂下深度を変えて砂の流出状況を観察しました。













































その結果、垂下深度が深いほど砂の流出は少なく、その理由はコンテナが海水中で水平方向にも鉛直方向にもあまり動いていないことがコンテナに取り付けた加速度計の解析により明らかになりました。

以上の方法で養殖したアサリは静穏海域のいかだ養殖と比較しても差はなく、非常に身入りの良いアサリが出来るようになりました。


この研究は農林水産技術会議の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」で実施されました。
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兵庫県立農林水産技術総合センター

私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
  今月は、水産技術センター 増殖部 主席研究員 安信 秀樹  が担当します。


波浪域でのアサリ垂下養殖技術

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