兵庫県では四季に合わせて様々な花きが切り花や鉢花、花壇苗として栽培されています。しかし、消費者の嗜好は少しずつ変わっていくため、それに合わせて農家も栽培する花きの品目や品種を変えていきます。そうした動きの中で、農家が栽培する新しい切り花の栽培技術開発や、兵庫県の気候にあった栽培適性を持つ品種の選定や改良を行っています。

1.兵庫オリジナルギクの栽培期間の拡大


 当センターでは平成17年から兵庫県花卉協会と共同で「葬儀の供花や仏花以外でも利用できる洋花的な花形、花色のキク」を目標に新しいキクを育成し、優良な系統を選抜してきました。そして、平成25年に‘兵庫花10号’(商品名:“ウェディング・サンバ”)、‘兵庫花11号’(商品名:“スカーレット・サンバ”)の2品種の品種登録が完了し、さらに‘兵庫花12号’ (商品名:“ビーナス・スターサンバ”)、‘兵庫花13号’ (商品名:“フェアリー・スターサンバ”)を品種登録申請しました(図1)。
 
 これらの新しいキクは兵庫県オリジナルのキク“サンバマム”シリーズとして生産されています。これらはいずれも開花期が10月の品種であるため、普通に栽培した場合、出荷期間が非常に短く、生産量を増やせません。そこで、栽培時期をずらして出荷期間を拡大する技術を開発しています。具体的には夜間に照明をあてて、日長を長くする電照技術とハウスを暖房して生育を促すための条件を調べています。照明をあてる時間は長くしたり、暖房温度を高くしたりすると生育は良くなりますが、コスト(電気代や燃料代)がかかります。そこで、できるだけ照明を短く、暖房温度を低くしてコストを下げながら、品質を維持する技術を開発しています。



                 図1 兵庫オリジナルギク(商品名“サンバマム”シリーズ)


2.イオンビームを利用した花色突然変異体の作出

 キクは赤、白、黄の三色を揃えて生産、販売することが多いです。しかし、この赤、白、黄の三色のキクは通常異なった品種であるためよく似た花形でも開花日が違います。お盆や彼岸など日時を限定して利用する場合にはよく似た花形の三色を揃えて開花させることが重要になります。そこで、イオンビームという重粒子線をあてて、同じ花形で花色のみ異なる花色突然変異体の作出を行っています。

 イオンビームは従来使われていたガンマ線(γ線)よりも突然変異を効率的に起こすことが知られています。この手法を用いてキク52品種にイオンビームをあて、そのうちの29品種から54種類の花色突然変異体を獲得しました。得られた突然変異体はその後、純化と栽培試験を行っています。最も多くの花色突然変異体を得られたのは‘紅椿’という品種で、6種類の突然変異体が得られています。(図2)現在、これらの栽培試験を行い、新品種候補の絞り込みを行っています。今後は実際に農家に試作してもらい、品種登録を行う予定です。



 

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兵庫県立農林水産技術総合センター

私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
 今月は、農業技術センター 農産園芸部 主任研究員 玉木 克知 が担当します。


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