兵庫県立農林水産技術総合センター
私の試験研究
当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
 今月は、但馬水産技術センター 主任研究員 鈴木雅巳 が担当します。

マダイの「活け」出荷技術

 一般的に流通している魚を状態で大別すると、「活魚」、「鮮魚」、「凍結鮮魚」があります。「鮮魚」として流通しているものの多くは、死後硬直が進行して完全硬直に達して以降の状態です。死後硬直とは牛や豚など動物全般に見られる現象で、魚も死後に筋肉が収縮することで柔軟性を失って次第に硬くなります。致死から完全硬直に達する前までは柔軟性があり、この状態は「活け」と呼ばれます(図1の右上写真参照)。「活け」の状態が保たれていることは、活け締めや神経抜きなどの魚体処理が適切に施されており高鮮度の証とされています。
 硬直の度合いは硬直指数として数値化できるので、これを用いて「活け」の状態を評価することができます。硬直指数は下図の式で求められ、体長の半分を水平な台にのせて、尾部がどの程度垂れ下がるかを指数として表したものです。硬直の度合いが進行するほど硬直指数は大きくなり、完全硬直に達すると100%になります(図1の右下写真参照)。

図1:魚の硬直指数の測定法(図は尾藤ら1983を一部改変)

 この硬直指数を用いて、マダイの「活け」の品質向上を目的に試験した結果が図2です。即殺はしたが神経抜きを施さなかったもの()は、死後硬直が早く進行しました。一方、硬直進行の遅延に有効であるとされる神経抜きを即殺後に施したもの()は、死後硬直の進行が遅くなりました。
 「活け」の状態をより安定させるために試験を重ねて得た出荷技術()では、死後硬直の進行がより緩やかになりました。これを活用することで、本県産地から京阪神の市場や店舗へは、死後硬直開始前とほぼ変わらない状態で流通させることが可能です。また、首都圏市場や店舗へは、「活け」の状態で安定して流通させることが可能となります。

図2:マダイの硬直指数の時間変化
私の試験研究リストページへ