私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は北部農業技術センター 農業・加工流通部 主任研究員 福嶋 昭が担当します。

太陽光利用の自動点滴潅水で夏秋ピーマンの増収・高品質生産が可能!!
ソーラーパネル利用をしたピーマン栽培の潅水装置で大きな効果

【試験研究の目的】

兵庫県の但馬地域は、近畿最大の夏秋ピーマン産地です。生産者200名、約12haで栽培されており、昼夜の温度差が大きいことから果実色の濃いピーマンが生産され消費者の人気も非常に高く好評です。

しかし近年、温暖化の影響で夏季の高温干ばつ等により土壌水分管理がむずかしく樹勢の低下を招き、果実の尻腐れなど障害果が多く発生しています。

そこで、ピーマンの安定的な収量と高品質果実の生産が可能な、安価でだれにでも使いこなせる潅水装置の実用化試験に取り組んでいます。

【装置のしくみ】

小型ソーラーポンプ(5)で毎分10L程度の揚水を行い、拍動タンク内の水位が水位センサー(8)のレベルに達すると電磁弁(10)が開き、配水が行われて水位が(9)のレベルに下がると電磁弁が閉じて再貯水が行われる。作物の生育や栽植密度、栽培面積にあわせて、バルブ(6)で揚水速度を調節する。

   

【得られた結果】

供試した潅水装置は、(独)近畿中国四国農業研究センターが開発した「日射制御型拍動自動潅水装置」です。本装置は、ソーラーパネルの電力で植物の生育に応じて自動的に潅水や施肥を行うことができ低コスト(約15万円/10a)で設置可能です。

本潅水装置でのピーマン栽培は、日射量に応じた省力的な潅水同時施肥が可能となり10aあたり10t以上の収量を確保でき、夏期の障害果の発生が軽減され果実品質も向上、且つ30%の減肥栽培が可能であることを実証しました。

   
ほ場への灌水装置の設置
マルチ内の点滴チューブとタンク内の肥効調節型肥料
左:土壌水分の推移、右拍動潅水時の施肥量と収量
夏季における障害果発生率

【今後の展望】

現在、有機質資材を中心とした基肥及び施肥方法を検討しており、本装置を用いた栽培方法や肥培管理マニュアルの作成を行っています。

露地でのピーマン栽培は、これまで畝間潅水ですが本潅水装置は電源のない山間地でも導入が可能であり、誰にでも簡単に使いこなせることから今後の普及が期待されています。

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