私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は森林林業技術総合センター 資源部 主任研究員 藤堂 千景が担当します。

キノコの力を借りて乾燥に強い苗木を作る!
~菌根菌ヒメカタショウロを利用したコナラ・アベマキ苗木の作成~

○背景と目的

山火事跡地や林道残土場、治山工事現場といった乾燥しやすい場所では、植栽苗木の枯損が懸念されるため、乾燥に強い苗木が求められています。

そこで、兵庫県内の広葉樹林を構成する主要樹種でもあり、事業地で植栽されることが多いコナラやアベマキに外生菌根菌*(ヒメカタショウロ)を感染させることによって、乾燥耐性が高く、低肥料でも初期生長が良い苗木を生産することを目的として試験を行いました。

○結果

(1) ヒメカタショウロ子実体に水を加えてミキサーで破砕したものを、播種したコナラのドングリに散布したところ、ヒメカタショウロの菌根が着いた感染苗木を作成することができました。

   

(2)育苗箱の中心にコナラ感染苗木を植栽し、その周りにコナラ、アベマキドングリを播種したところ、9ヶ月で育苗箱全体の苗木がヒメカタショウロに感染しました。

   
育苗箱での感染試験の様子

(3)菌根を沢山つけたコナラ苗木の成長は良いことがわかりました。

   

(4)コナラ感染苗木と未感染苗木を乾燥する条件で2ヶ月育てたところ、未感染苗は11本の内8本が落葉しましたが、感染苗に落葉は見られず、9本すべて正常でした。このことから感染苗の方が乾燥に強いことが推測されました。

   
乾燥耐性の試験

(5)山火事跡地、林道残土場の現場に植栽したコナラ、アベマキの感染苗木、未感染苗木は、どちらも感染苗木の成長が良好でした。

   
林道残土場に植栽した苗木の地際径成長

○今後の展開

試験結果から、菌根菌に感染した苗木の方が乾燥に強く、成長も良好であることがわかりました。今後は、苗畑で沢山の苗木を作成する方法を検討し、県内の種苗生産者への生産技術の移転を図る予定です。

キノコといえば、食用のイメージが強いですが、食べる以外にもキノコの使い方はあるのですよ。

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