開発した実用技術>水産>瀬戸内水産環境
開発技術名 「播磨灘北部における栄養塩の変動がノリ養殖に与える影響と貧栄養化対策技術の開発」
技術開発の経緯
 兵庫県は有明海と並ぶ国内有数のノリ産地であるが、1990年代後半以降ノリの生産不振が頻発するようになった。水質汚濁防止に関する法整備や社会的な協力によって、瀬戸内海の水質は改善してきたが、播磨灘ではノリの色落ちや漁船漁業生産不振などの課題が顕在化してきている。ノリの生産不振の主な要因は、溶存無機態窒素(DIN)の不足による色落ちとされており、水産業界からは海域の生産性を維持するため、適切な栄養塩の管理に関する強い要望が上がっている。本研究では、播磨灘北部における栄養塩の動態及び海域への栄養塩供給手法について調査研究を進めた。
開発技術の内容
ア 播磨灘北部における溶存無機態窒素(DIN)とノリ養殖の関係
 ノリ養殖の主要生産期である12~3月の播磨灘のDIN濃度は経年的に低下しており、1990年代後半からはDIN濃度が色落ちの発生し始める3μM以下に低下する頻度が高まっていることも判明した。また、DIN濃度と海苔の生産金額には相関のあることが分かった。
イ 播磨灘北部における栄養塩の有効利用に関する研究
 加古川河口域等において、陸域からのDIN供給(河川水、下水処理水、産業排水等)は貧栄養化したノリ漁場の重要な窒素供給源となっていることを現場観測結果から示した。また、モデルシミュレーションにより、下水処理水は近隣のノリ養殖漁場まで到達していること、さらに下水処理施設の栄養塩管理運転(窒素排出量増加運転)に伴う窒素増量分は漁場まで供給されることを明らかにした。
期待する効果
 本研究により示された前述の結果は、今後の瀬戸内海の水質(栄養塩)管理の在り方を検討するための知見として、水産のみならず環境分野でも既に活用されている(2014年度には共同研究機関による事業成果の行政向け冊子「瀬戸内海東部におけるノリ、ワカメ養殖のための栄養塩管理に向けて」を発行)。また、2014年度現在、兵庫県内では15の下水処理施設の協力により、栄養塩管理運転(基準値内での窒素排出量増加運転)を試行している。
連絡先 水産技術センター水産環境部 078-941-8601   (作成者:原田和弘)