センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 総合センター 次長(技術調整担当) 柳田 興平 が執筆しました。

つい先日までは、燃えるような新緑の中、さわやかな風が、センター内の菜の花畑や黄金色の麦畑をゆらしていましたが、水田には水が張られ、田植えが始まりました。

昭和50年代半ばごろの我が国では、お米を中心として、水産物、畜産物、野菜等の多様な副食から構成された栄養バランスに優れた「日本型食生活」が実現されていました。
 しかしながら、経済成長に伴い食生活の欧米化が進み、畜産物や油脂類の摂取が大きく増え、栄養バランスの乱れから生活習慣病を招くとともにその低年齢化も進んでいます。

県では、主食であるお米を中心として魚、野菜、大豆などに牛乳、果実等を組み合わせた栄養バランスのとれた食生活を推進するため、平成9年度から、各種団体や企業、学識経験者や行政が一体となって「おいしいごはんを食べよう県民運動」を展開しています。

この運動は、米飯学校給食を柱に健康面だけでなく、お米が国内で必要な量を生産できる作物である点、水田の持つ環境保全と災害防止機能の維持など多様な視点から重点事業として繰り広げられています。

また、本県では、コシヒカリ、キヌヒカリ、ヒノヒカリといったおいしいお米(良食味品種)への作付け転換が進んでおり、平成8年産では主食用うるち米に占める作付割合は、47%でありましたが、18年産では97%と拡大したことから、兵庫県産米100%の袋詰精米の販売量が増えています。

ところで、おいしいお米づくり技術については、当センターで開発した「良食味化栽培指標」が活用されていますが、化学合成農薬や化学肥料の使用を抑えた安全安心なお米づくりも拡大しています。

なかでも、但馬地区では「コウノトリ育む農法」による栽培面積が急速に増加し、生産されたお米は、ひょうご安心ブランドとして消費者に高く評価されており、このような「生きものと共生する農業」である環境創造型農業は、県内各地域で取り組まれています。

しかしながら、「コウノトリ育む農法」は、有機資材を利用することから、育苗や肥料効果、冬季・長期湛水と中干し延期による土壌還元の進行、雑草の多発、虫害による収量・品質の低下などの技術的な課題も多く残っています。

このため、センター内に設置した「環境創造型農林水産技術支援チーム」が主体となり種々の技術的課題の解決に取り組んでおり、他の地域での環境創造型農業の取組についても、一層の技術支援を行ってまいります。