センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 森林林業技術センター 木材利用部長 大石房男 が執筆しました。

秋晴れの快い10月になりました。10月は、我が森林林業技術センター木材利用部の実験棟と研究棟が誕生した月です。今回は、この実験棟と研究棟とそれに関連する木材強度等の依頼試験などを紹介させていただきたいと思います。
 森林林業技術センターの研究部門は、資源部と木材利用部があります。木材利用部は、平成7年4月に創設されましたが、実験棟・研究棟は、H7年10月にオープンし、今年の10月で14年目を迎えることになります。
 木材利用実験棟、研究棟は、県産木材の利用推進をめざして、木材の強さ、乾燥、加工、製品開発などの研究と製品の性能評価などを行う施設として設置されました。
 余談ですが、森林林業技術センターは、昭和9年に創設された兵庫県林業試験場が母体だと言われていますが、それ以前の大正8年には宍粟郡営木工講習所があり、昭和8年には兵庫県山崎木工試験場が創設されており(林業試験場の創設に伴い吸収された)、木材利用部が創設されたのは平成になってからの話ですが、資源部より歴史は長いという奇妙なことになっています。
 さて、話を元に戻して、施設の概要を説明いたしますと、実験棟は、延べ床面積884.6平方メートルの木造平屋で、研究棟は、延べ床面積356.4m2で木造2階建です。
 実験棟、研究棟とも県産木材を使用しており使用量は、;湾曲大断面集成材も含め約300立法メートルとなっています。

主な試験機器は、

主な工作機械は、

左:木材研究棟と木材利用実験棟、右:木材実験棟の内部
左:走査電子顕微鏡、右:マイクロ波乾燥機

[木材強度等依頼試験について]

この実験棟、研究棟では、課題研究の試験を行っていますが、民間からの木材強度等の依頼試験(1件につき3,000円)も行っています。行える試験内容は、次のようなものです。

試験項目 使用する試験機器等
曲げ強度 木材万能強度試験機、小治具、 大治具
曲げヤング係数 データロガー、小治具、大治具
圧縮強度 木材万能強度試験機
引っ張り強度 木材万能強度試験機、引張試験機
せん断強度 木材万能強度試験機
釘引き抜き強度 木材万能強度試験機
木ねじ引き抜き強度 木材万能強度試験機
硬さ強度 木材万能強度試験機
実大曲げ強度 木材実大強度試験機
実大曲げヤング係数 データロガー
実大圧縮強度 木材実大強度試験機
実大圧縮変位 データロガー
動的ヤング係数 FFTアナライザー
密度 重量測定器等
含水率 恒温器、重量測定器

多いときは、年間、300件以上ありましたが、木材業界が昨年来の世界不況の影響をもろに受けたのと住宅着工戸数(以前は、全国で110万戸以上あったが、本年度は100万戸をかなり下回る予想)が激減したため、最近は以前より少ないのが現状です。
 しかし、木材は、品質性能表示を明確にしておかなければ、消費者(工務店等)が安心して使えず、木材の消費拡大につながりません。ぜひとも、木材強度等依頼試験のご活用をお願いします。

お問い合わせ先は、森林林業技術センター 木材利用部まで TEL 0790-62-2118

左:木材実大強度試験機による曲げ強度測定、右:FFTアナライザーによる動的ヤング係数測定(木材非破壊検査)
左:木材万能強度試験機による曲げ強度測定、右:引張試験機による強度の測定