センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 但馬水産技術センター 所長 廣瀬 和孝 が執筆しました。

漁業調査船の謎

平成21年7月に竣工した新漁業調査船「たじま」での調査の様子は、但馬水産技術センターのホームページに掲載しているので、ぜひご覧下さい。下の「たじま」画像をクリックすると、業務日記にリンクしています。

今回は新漁業調査船「たじま」について、あまり知られていない、いわゆる雑学のお話です。船を見るのが10倍楽しくなること請け合いです。

①この番号は何?(IMO 9565821)

IMOとは、国連の専門機関のひとつ「国際海事機関(International Maritime Organization)」のことです。
 IMO船舶識別番号(IMO Ship identification number scheme)は、海事上の安全、汚染防止及び海事上の詐欺行為防止を目的として、個々の船を識別するため、恒久の番号を指定するものです。
 船舶の船籍が他の国に変わる場合にも、この番号が変わることはなく、新しい船舶の証明書にも同じIMO船舶識別番号が記載され続けます。

②この番号は何?(HG1-300)

「漁船法」に定められた漁船登録番号です。最初のアルファベット2文字は、漁船が登録されている県名を表しています。
 「たじま」のHGは兵庫県の漁船であることを示しています。北海道はHK、青森はAM、大阪はOS、とここまで来れば近隣府県のKT、TT、SN、OY、HSなんかすぐ分かりますよね?
 ところがどっこい、FKはどうでしょう。福島、福井、福岡? ついでにYMは山形、山梨、それとも山口? 正解は順に、FS、FK、FO、YM、YN、YGと定められています。

HGの次の「1」は、「たじま」が100トン以上の漁船であることを示しています。ちなみに5~99トンは「2」、「3」は5トン未満を示しています。
 カラオケの背景画面に漁船が出てきた時には、しっかり確かめて下さい。

③窓にくっついた丸いものは何?

旋回窓といって、真ん中のモーターで丸いガラスを高速回転させ、水を吹き飛ばします。普通の雨なら右側の窓に付いているワイパーで十分ですが、大時化になって前からザッポンザッポン波を受けたり、はたまた大波に突っ込んだ時には大きな威力を発揮してくれます。

④船の前に出っ張ったこぶは何?

船首バルブ(球状船首)と呼ばれ、前もって先に別の波を起こしておいて、船体から生じる波と打ち消し合うようにしています。
 エンジンのパワーを効率良く船の推進に使い、結果として船速が速くなったり、燃費が良くなったりします。
  日本では、戦艦大和に初めて使われた技術だそうです。宇宙戦艦ヤマトにもちゃんと付いているので、しっかり確かめて下さい。

⑤船体に開いてる横穴は何?

船首または船尾の水面下に横方向のトンネルを開け、その中のプロペラを回して、船首または船尾を横方向に移動させる装置を、スラスターといいます。
 「たじま」のように船首付近に設けたものを、バウスラスターと呼び、岸壁への離着岸や調査位置を微調整する時などに使います。
 浮いている船では見えにくいのですが、フェリーに乗った時などに海水の動きや音で、しっかり確かめてください。