センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 総合センター次長(技術調整担当)兼農業技術センター所長 藤本 毅 が執筆しました。

はじめまして
 平成23年4月1日付の人事異動で、兵庫県立農林水産技術総合センター次長(技術調整担当)兼農業技術センター所長に着任した藤本 毅(ふじもと つよし)と申します。農学職で兵庫県に就職し30余年が過ぎますが、主に農林行政を担ってきましたので、技術センターでの勤務は初めてです。何卒よろしくお願いします。

兵庫県は、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路の五つの国からなり、日本海から瀬戸内海を通じて太平洋につながり本州を縦断する唯一の県であり、広大な県域で多彩な農林水産物を生産し、多様な農林水産業が営まれています。
 全国で上位の生産・産出量があるものがたくさんあります。1位:酒米山田錦、ズワイガニ、ハタハタ、ホタルイカ 2位:丹波黒大豆、シラス、スズキ、イカナゴ、タコ 3位:たまねぎ、レタス、いちじく、カーネーション 4位:ノリ養殖、ベニズワイガニ 5位:- 6位:しゅんぎく 7位:- 8位:びわ 9位:キャベツ 10位:- 11位:生乳、鶏卵、ハチミツ 等々です。まさに兵庫県は食材の宝庫です。
 しかしながら、食料自給率は、カロリーベースで全国41%に対し兵庫県は16%です。農林水産物の生産県ではありますが、大消費県でもあるわけです。今日のように国民が豊かな食生活を楽しめるのも、生産技術の向上に加え、食品加工・貯蔵・物流によるところが大きいのです。

兵庫県の農林水産行政の基本方針は、「ひょうご農林水産ビジョン」に基づき次の5つの基本方針を掲げ推進しています。
Ⅰ 地域の特性を生かした力強い農林水産業の展開 Ⅱ 安全安心で健康な食づくり Ⅲ 県民生活と農林水産業をつなぐしくみづくり Ⅳ 美しい農山漁村づくり Ⅴ「農」に関わる県民生活の展開
 とりわけ平成23年度の農政環境部の重点目標として、次の5項目を掲げ82,622百万円の予算措置をして、農林水産事業者や県民の皆様の負託に応えるため、市町・関係団体の皆様方と連携を図りながらの施策を積極的に推進することとしています。

1「大都市近郊」や「五国」の特性を生かした農林水産業の展開
・経済協定(TPP協定等)対策調査及び検討の実施
・農業の担い手育成対策
・野菜産地パワーアップ作戦の総力展開
・ひょうごの美味しフードブランド力向上作戦
・但馬牛20,000頭増頭対策 等
2 資源循環型林業の構築を目指したひょうご戦略の展開
・原木生産供給体制の整備
・県産木材の需要拡大対策 等
3 持続可能な漁業生産体制を実現する資源培養型水産業の推進
・資源培養型水産業の振興
・魚食文化の普及など消費の拡大 等
4 県民生活と農林水産業をつなぐしくみづくり
・環境創造型農業の推進
・地産地消の推進 等
5 災害に強く美しい農山漁村づくり
・中山間地域活性化対策の推進
・山地防災の推進方策 等

さて、県立農林水産技術総合センターでは、「県の農林水産振興施策の推進を支える技術開発・普及」という試験研究機関の役割を果たし、より効果的、効率的な技術開発に取り組むため、平成23年3月に「県立農林水産技術総合センター中期試験研究計画」(平成23~27年度の5カ年計画)を策定したところです。今後は、この計画に基づき農業・畜産・林業・水産の各部門において、農林水産事業者・県民・関係団体のニーズに応える技術開発を重点的に取り組むこととしています。
 既に4月中に各部門ごとの23年度試験設計検討会を実施し、継続・新規課題に取り組んでいるところです。課題によっては、センター内の試験だけでなく現地での試験・実証を予定しておりますので関係者の皆様のご理解とご協力をお願いします。

最後になりましたが、東日本大震災で被災された多くの方々にお見舞い申し上げますとともに、犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈りします。16年前の阪神・淡路大震災を経験し、全国・世界から心温まる支援を受けた兵庫県民としてできる限りの支援を行い、早期の復旧・復興が図られますことをご祈念申し上げます。