センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 総合センター 総務部長 中島 稔彦 が執筆しました。

11月1日、加西の農林水産技術総合センターにおいて、兵庫県と関西広域連合主催による「口蹄疫等防疫訓練」が行われました。

口蹄疫は、近年、中国、韓国など近隣諸国で相次ぎ発生しておりますが、国内でも、昨年、春から夏にかけて宮崎県で発生し、牛などの家畜約29万頭が殺処分されるなど、大変大きな被害がでました。蔓延を防止するため大規模な防疫活動が行われ、ニュースでも大きく報道されましたので、耳目にも新しいところです。この大規模発生が、口蹄疫対策の重要性が再認識されるきっかけにもなりました。

口蹄疫を防ぐには、家畜を飼養する農場へのウィルスの侵入を防止することが一番大切なことですが、ひとたび感染家畜が発生した場合は、他への伝染を防ぎ蔓延させないよう、速やかな封じ込めを行わなければなりません。

このたび実施された口蹄疫等防疫訓練は、机上訓練と実地訓練の2部構成で行われ、県内の市町や県などの畜産や家畜防疫、防災の関係者をはじめ、他府県から参加された方など、200名を越える皆さんが参加されました。

午前中に行われた机上訓練では、実際に兵庫県内の農場で発生した場合を想定し、口蹄疫の発症が疑われる牛が発見されるところから、口蹄疫が終息するまでの時間経過を追って、その各シーンで実施しなければならない家畜の移動制限や消毒ポイントの設定と消毒作業、発生農場での家畜の処分などの防疫作業や、それを実施する組織体制などの綿密なシミュレーションが行われ、午後には、消毒ポイントでの消毒作業、発生農場からの処分家畜の搬出、処分家畜の埋却作業など、本番さながらの作業が実演されました。

午後の実地演習では、汗ばむほどの好天の下、参加者全員が白い防護服を着用し、宮崎県へ応援として派遣されていた家畜保健衛生所の職員の詳細な説明に耳を傾け、実演を見守りました。

現在、県立農林水産技術総合センターの加西の畜産技術センターでは、約600頭の牛と豚を飼養しており、その中には、兵庫県が誇る但馬牛の種雄牛もいます。万一にも感染した家畜が出た場合、その影響と損失は計り知れないものがあります。

今回の口蹄疫等防災疫訓練に参加し、蔓延防止のための初動の重要性とともに、なによりもウィルスの侵入防止体制を固めておくことが必要であるとの思いを強くした一日でした。