センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 北部農業技術センター 農業・加工流通部長 永井 耕介 が執筆しました。

農業・加工流通部は平成21年4月に2つの研究部門が統合して新たな部として誕生しました。その1つが「農業部門」で、但馬・丹波地域の特産農作物(米、黒大豆、小豆、梨、岩津ネギ、ピーマン、ヤマノイモなど)の品種の改良や栽培方法についての試験研究や種苗の育成・配布を行っています。もう1つが「食品加工流通部門」で但馬・丹波地域のみならず、県下全域の農林水産物の①美味しさや栄養機能性成分等の品質評価、②品質保持、鮮度保持技術、並びに③加工技術の試験研究や指導・研修等を行っています。

食品加工流通部門では、主として「県産農林水産物のブランド化」を支援する課題に取り組んでいます。例えば、トマトでは「糖度6以上、酸含量0.5%以上」とする美味しいトマトの基準を作り、その上、完熟果でも荷傷みの少ない流通技術を作り上げることにより、全国に先がけて「美味しい完熟トマト」を市場流通できるように支援してきました。また、淡路島タマネギの美味しさの秘密にも取り組み、淡路島タマネギが「甘くて、柔らかい」ことを数値で示し、「地域団体商標」取得の決め手となる情報提供を行いました。さらに、丹波黒大豆は100粒重が80g以上と「世界一大粒の黒大豆」ですが、その特徴として、他の黒大豆に比べて、「ビタミンE含量が多いこと、煮豆が甘くて柔らかいこと」等を数値で明らかにしています。水産関係でも、旬の水産物や水産加工品の特徴を明らかにし、分かりやすい「ひょうご海の幸カード」や「栄養成分表」を作成し、本県産のPRに役立てています。

現在は丹波ヤマノイモ、美方大納言小豆、アサクラサンショウ等の特産農産物の特徴を明らかにすることにより、ブランド力を高めるとともに、生産者やそれを利用した加工品開発など地域の活性化向上にも貢献しています。また、岩津ネギ、黒大豆枝豆やスイートコーン等の鮮度の低下を抑制する技術を提供することにより、特産品の品質向上を図っています。

これからも、多種多様な優れた県内特産農林水産物の味・栄養価や機能性成分等の特徴を明らかにするとともに、栽培面でもブランド化を支援していきたいと考えています。