センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 淡路農業技術センター所長 小山 佳彦 が執筆しました。

淡路島は県最南部に位置し大阪湾、播磨灘及び紀伊水道に囲まれた周囲約203km、面積596km2の島です。気候は瀬戸内型に属し、年平均気温15.3℃、年平均降水量1,457mmで年間を通じて温暖であり、年平均日照時間が2,057時間もあり、農業に適した過ごしやすい気候です。淡路島ではその気候・風土に合致した農林水産業が展開されており、その産出額は県下の約1/4を占めています。
 生産物の県内シェアでは「たまねぎ」「レタス」「カーネーション」が90%を超えており、これらはいずれも全国3位の生産高となっています。また、肉用子牛は神戸ビーフで代表される高級和牛肉の肥育素牛として全国各地に高値で取引されています。さらに当地は乳牛飼育の歴史が古く、西日本有数の酪農地帯となっています。

淡路農業技術センターは淡路島南部の南あわじ市にあり、研究部門は農業部と畜産部から構成されています。淡路地域の生産状況に配慮して、農業部では淡路地域の園芸作物、畜産部では県下全域の酪農を対象に、地域に密着した試験研究を念頭に、関係機関との連携のもと、新鮮で高品質な農・畜産物を安定的に供給できる生産性の高い経営を実現する技術の開発を目指しています。

これまでは毎年1回程度、研究成果や現在実施している試験課題の概要について紹介してきましたが、今回は趣向を変えて、これら以外に取り組んでいることをいくつか紹介します。

【研究ふれあいデーの開催】

県民の皆様に当センターの仕事内容を知っていただくことを目的として、毎年11月3日の文化の日に「研究ふれあいデー」を隣接している淡路ファームパークイングランドの丘公園で開催しています(今年度は「淡路うまいもんフェア」と共同開催したため11月6日の開催になりました)。豪華景品がもらえる「子牛の体重当てクイズ」、成分濃度が微妙に異なる3種類の「牛乳飲み比べ」、微小な害虫等を観る「顕微鏡観察」(子供に大人気)、植物や動物の雑学が学べる「ミニ講演会」等々、他にもシールラリー、パネルや農機具の展示を行っていますので、今年の11月3日には是非お越し下さい。

【研究成果発表会の開催】

関係機関や生産者の方々を対象に毎年の成果を発表(畜産部は2月、農業部は3月)しています。開発した技術の啓蒙・普及や開発途上のものは意見を聞いて、試験設計に反映させたりしています。農家の経営に直接関わる内容ですので、厳しい指摘も多く、研究員は緊張した面持ちで発表します。

【視察研修】

開かれた研究機関として当センターの視察を希望する方々には、業務の内容を理解していただくよい機会としてとらえ、可能な限り対応しています。可能な限り、というのは物見遊山で来られる方(「何でもええから、見させてくれ」というような方)は、視察をお断りしています。具体的に何を研修したいかという目的を持って希望される方は大歓迎です。
 昨年は約2,700名(ふれあいデーを含む)の視察がありました。

【トライ・やるウィークの受け入れ】

毎年5月に中学2年生を対象に、社会勉強の一環として実施されている「トライ・やるウィーク」を受け入れています。農家のお子さん(将来の担い手)も来るのですが、農作業の機械化が進んだせいか、家の手伝い(タマネギ引き等)をしたことがない子が多いようです。