センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 但馬水産技術センター所長 中村 一彦 が執筆しました。

但馬水産技術センターに持ち込まれた珍しい魚介類(希少魚等の採捕記録)

但馬水産技術センターでは、但馬地域の水産業の振興のため、ズワイガニ、ベニズワイ、アカガレイ、ハタハタ、ホタルイカ、スルメイカ、ソデイカ等の有用魚種を対象に資源生態調査や資源管理手法の開発、漁況予報、加工流通技術についての開発研究行っています。
 一方で、地域の水産関係の方々によって、但馬では採補されることが希な「何十年と漁に出ているが見たこともない」魚介類が持ち込まれ、どのような種か調べてほしいとの依頼があります。
 今回は、これらの希少魚等の採捕記録から、但馬で希なイカ類を紹介します。

1 ダイオウイカ

平成19年2月13日旧竹野浜漁協(現JF但馬竹野支所)所属大型定置網に生きた状態で入網。
 外套長(胴体の長さ)147 cm、全長(脚の先まで入れて)295 cm、体重約90 kg但馬沿岸では昭和40年代にも採捕されたことがあるそうです。
 このイカは、国立科学博物館に送られ生態解明等に利用されました。

2 ヤツデイカ

平成20年4月23日 但馬沖でJF但馬(但馬漁協)香住本所所属の沖合底びき船が採捕。
 外套背長(胴体の長さ)189mm、体重301.3g
 但馬周辺海域では、2008年4月12日にも沖合底びき漁船が採捕し、鳥取県立博物館が新聞発表しています。
 このイカは鳥取県立博物館に標本として寄贈し、筋肉の一部を系統分類学用DNAサンプルとして国立科学博物館に提供しました。

3 サメハダホウズキイカ

平成18年5月12日 但馬沖で旧柴山港漁協(現JF但馬柴山支所)所属の沖合底びき船が採捕。
 外套背長(胴体の長さ)103mm、体重71.0g、(生時)
 生きた状態で持ち込まれたので、浮遊姿勢や外套に頭部を収納出来ることが判りました。
 但馬周辺海域では、底びき網で年に1~2回の採捕があります。

4 ユウレイイカ

平成24年4月12日 但馬沖でJF但馬柴山支所所属の沖合底びき船が採捕。
 外套背長:33cm(胴体の長さ)、全長(触腕除く):65cm
 生きた状態で撮影しました。但馬周辺海域では、底びき網で年に数回の採捕があります。

まだまだ、珍しい魚類などの記録のありますので、次の機会に紹介したいと思います。