センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 総合センター次長兼企画調整・経営支援部長 山内 博司 が執筆しました。

はじめまして

私は、このたび県立農林水産技術総合センター次長(技術調整担当)兼企画調整・経営支援部長として着任しました山内と申します。

私は、兵庫県の農業系の技術職員ですので、これまでの30年の間に幾度も農業技術センターの研究員とともに仕事をしてきたのですが、技術センターからは常に外来者であり、県の試験研究機関での勤務は初めてのことです。

就任して一月あまりですが、センター内部の人間となって、当センターが農業、畜産業、林業及び水産業の多様な分野において産業振興や環境保全などに広くそして深く関わり、新たな技術開発や新事実の発見と解明に取り組んでいることを改めて認識しました。

ところで、私はここまでに「技術」という言葉を6回用いてきました。この技術という言葉を誤解を恐れず私なりに当センターに当てはめて解釈してみます。 まず技術は、「技(わざ)」と「術(すべ)」の二つの単語から構成され、私はこのうち「技」は人それぞれの能力に強く支配されると考えます。上手(じょうず)や匠の技は余人にまねができないものであり、例えば同じ鋸を使って木を切っても、切り口の仕上がりの美しさには歴然とした差が生じます。そのため技は、高い水準の能力を有する人から人へと伝承されていく手法といえます。

一方で「術」は、それを手に入れる(身につける)ことができれば、ある目的をまずは納得できる水準で達成できるように、手法と手順をとりまとめたもので、上手や匠はもちろんのこと、同じ目的を持つ多くの人々の集団が獲得できるものと考えます。

ですから私は、農林水産業において「技」と「術」を合わせた「技術」は、例えば同じ面積の田んぼからより品質のよい米をより多く、より少ないコストで産出するというように、これらの産業に携わる人々が高い水準で目的を達成するために、高度の手法を普遍的に用いることができるように効果的に組み上げたシステムでなければならないと考えています。

当センターでは、農林水産業の振興に貢献するため、多くの研究員が現場の農林漁家をはじめ、関係団体や行政機関の人々との意見交換や連携を密にしながら様々な試験を行い、結果を分析し、さらに改良を加えて新しい農林水産技術を開発し、農林水産業の現場での普及に務めています。

私達のこのような取組をより多くの兵庫県民の皆様に知っていただくため、当センターでは、ご覧のホームページやメールマガジンを始め様々な方法で情報を発信しています。また、農業・畜産、林業、水産業それぞれの分野の技術センターでは、県民の皆様に直接お越しいただき試験研究成果に触れていただく「公開デー」も設けていますので、是非一度お立ち寄りください。