はじめまして
今年の4月から農業技術センター所長を務めさせていただいています小山 佳彦(こやま よしひこ)と申します。その前の3年間は淡路農業技術センター所長を務めていました。どうぞよろしくお願いします。
私は昭和58年に兵庫県職員になってから今年度で32年目になりますが、一環して試験研究機関に勤務しています。平成18年までは花き担当の研究員として、主にカーネーション(淡路農業技術センター)、キク、バラ(農業技術センター)という日本3大切り花を対象とした技術開発に従事してきました。今の立場になって思い返すと、研究員時代はとても楽しかったです。自分で試行錯誤しながら開発した技術が農家に普及し、農家の方から「おかげさんで儲かったわ」なんて声を聞くと、もっと役に立つ技術を開発して喜んでもらおうと頑張った記憶が昨日のように蘇ってきます。農家、農業改良普及センター、農協の職員の方々と、お酒を飲みながら語り合いました。無茶も頼むけど、無茶も引き受けるような信頼関係がありました。そういった雰囲気のなかで、新しい技術の種が発掘され、形あるものに育っていったような気がしています。
現状の農業技術センターは各担当研究主幹を筆頭にした縦割り社会になっています。野菜の研究員は野菜のこと、花の研究員は花のことしか考えていない、というように発想の原点が自身の知識と経験という狭い範囲にしか基づいていないように見受けられます。専門に特化して真理を究めるにはよいことかもしれませんが、それは大学や国の研究機関の仕事で、我々はその真理を活用して生産振興に役立つ実用化技術に仕上げていく使命を負っています。それには発想力を身につける必要があります。ここでいう発想力とは、日常の何気ない会話や現象から技術開発に結びつく仮説を立てる能力のことと考えてください。
そこで、着任してすぐに多様な分野の研究員が議論できる場づくりが必要と考え、以下のチームを作りました。①安全安心を支える技術開発チーム、②ブランド力に直結した技術開発チーム、③異常気象に対応した技術開発チーム、④低コスト・省エネ生産技術開発チーム、⑤シーズ研究開発チームの5チームです。チーム員は専門を異にする研究員で構成され、そこで議論を行い、それぞれのチーム名に対応した斬新でオリジナリティに富んだ新しい課題を作ることを目的としています。
様々な専門技術を持った研究員同士の議論は、研究員の質的向上に有効であり、ひいては農業技術センターの研究力向上に役立つと信じています。このような取り組みを続けていくことで、県の施策を支える技術開発機関としての役割をこれまで以上に果たすことができるようになると確信しています。使命感を持って、職員一同が力を合わせて頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。