センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 淡路技術センター所長 大川 浩一 が執筆しました。

こんにちは

この4月から淡路農業技術センター所長となりました大川浩一(おおかわひろかず)です。どうぞよろしくお願いします。

私はH25年度に淡路農業技術センター畜産部長として、20年ぶりに淡路農業技術センターに来ましたが、26年度から所長兼畜産部長として勤務することになりました。淡路農業技術センターには平成元年から5年までの5年間、そして昨年からの2年間在籍し、これが研究機関での勤務ということになります。県職員しては32年目ですが、淡路での勤務は家畜保健衛生所を含めると13年目となり、私にとって淡路島は最も長い勤務地です。

淡路に初めて赴任した時、辺り一面タマネギ畑であったことは新鮮な光景でした。淡路の農家はよく畑に出ており酪農家も例外でなく、乳牛の検査に行っても牛舎にはおらず、近くの畑を探し回るのが常でした。何年も経ち、私自身そんな風景はすっかり当たり前となった頃に新人の女性獣医師とともに乳牛の検査に一緒に出かけた時もやはり牛舎にはおらずタマネギの収穫をしていました。そこで何事も経験とその女性獣医師に収穫作業のお手伝いを2時間ほどさせたことがあります。それから10数年が経ちましたが、その女性獣医師からはこれがきっかけとなり、他の酪農家とも親しく会話できるようになり、以降、乳質改善や病性鑑定などの農家指導ができるようになったと感謝していました。

さて、このタマネギの収穫作業、今年のテレビ番組では引っ張りだこで、ジャニーズのアイドルグループや数多くの芸人やらレポーターが取材に訪れ、さらにはタマネギで美白をといった話題が巷を賑わしました。今、農業に関心が集まり、さらに体験してみたいという人が増加しています。そこにはマスメディアの存在とともに作った農産物は自信を持って消費者に届けようという情報発信によって、農家と消費者の距離は確実に縮まっています。

タマネギの収穫風景

ところで、研究員は自分が取り組んでいる研究課題で成果を求めて、日々研究に取り組んでいますが、その導き出された成果の先にその成果を待ち望み、喜ぶ農家の顔を何人思い浮かぶことができるのでしょうか。また、逆に県内の農家は何人の研究員の名前と顔が一致するのでしょうか。今はテレビでも赤や黄色や青色のボタンを押せば、双方向でデータのやりとりができる時代です。双方向で伝達しあえる相手が多いほど、情報(成果)は広がっていきます。課題解決型の研究課題だけでなく、シーズ開発型の研究課題であっても、得られる成果を想定して、伝える相手とその方法を常に意識しながら日々の研究に取り組んでほしいと思っています。