センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 淡路農業技術センター農業部長 小林 尚司 が執筆しました。

淡路島は、面積では県土の7.1%(596km2)にすぎないですが、農業産出額では419億円(H.24)と県全体の27.5%を占め農業が盛んに行われています。

南部の三原平野では、冬季の温暖な気象条件を活かして水稲と露地野菜を組み合わせた三毛作が営まれ、特に、タマネギの栽培面積は約1,600ha、レタスは約1,200haで全国第3位の生産量を誇る大産地を形成しています。一方、北部では、海岸沿いから緩やかな斜面に温室群が広がり花きの栽培が行われ、中でもカーネーションの出荷量は全国第3位を占めています。また、温州ミカンをはじめ柑橘やビワなどの常緑果樹の栽培も盛んです。

淡路農業技術センター農業部では、これらの地域特性を活かした園芸作物の栽培に関する技術の開発、実証試験に取組んでいます。その中から、主な試験研究内容について紹介します。

1.多毛作露地野菜の気象変動に対応する排水改善・土壌水分管理技術(H.23~26年)

近年、気象変動により集中豪雨等による冠水被害が多発しています。大規模露地野菜の生産安定を図るため、品目(タマネギ、レタス、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリーなど)ごとに冠水時の生育ステージ・冠水時間と被害程度との関係解明や被害軽減技術の確立、また、地下水位制御システム(FOEAS)の導入による計画的な作付けを可能にする圃場の給排水・土壌水分管理技術を確立します。

【関連する研究成果をご覧下さい】

2.ブランド力強化に向けたタマネギ内部品質の非破壊判別技術の実用化調査(H24~26)

近赤外分光装置を用いて、外観では見分け難いタマネギ内部の腐敗や品質を非破壊で判別する技術を開発し、品質保証、付加価値向上による「淡路島たまねぎ」ブランド力の強化を図ります。

【関連する研究成果をご覧下さい】

3.カーネーションの夜間複合環境制御による低コスト・良品多収技術の開発(H24~26)

カーネーションの施設栽培において、燃油コスト削減と品質向上をめざし、冬季に夜間変温管理を行い、燃油を削減しながら、省エネ光源(LED等)の間欠照明によって、収穫期の前進を図ります。また、夏季にヒートポンプ等の省エネ空調装置による夜温の昇温抑制を行うことで秋季の品質向上を図ります。

【関連する研究成果をご覧下さい】

4.6月出荷ストックの安定生産技術の開発(H26~27)

ストックは、無加温でハウス栽培が可能で、業務用切り花としての需要も高く、生産面積が増加している品目です。温暖な気象条件を生かした二期作による秋~春までの連続出荷技術や高品質生産、品種選定などの技術を確立します。

【関連する研究成果をご覧下さい】

5.温州ミカンにおける隔年結果防止と品質向上技術の確立(H23~26)

温州ミカンの安定した隔年結果防止対策として夏肥施用と後期重点摘果およびかん水の3つの個別技術を体系化し、高品質ミカン生産技術を確立します。

【関連する研究成果をご覧下さい】

【淡路農業技術センターのこれからの取り組み】

消費者の食に対する安全安心・健康への関心が高まる中、農業は高齢化や気候変動、TPP(環太平洋パートナーシップ)交渉等の国際化など社会情勢の変化へ対応していく必要があります。淡路農業技術センターでも、この変革の時代に対応できる技術開発をこれからも進めてまいります。