センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 総合センター次長 西川 嘉彦 が執筆しました。

当センターのホームページをご覧いただいております皆様、はじめまして。

私は、4月に赴任してまいりました総務担当の次長の西川嘉彦です。よろしくお願いいたします。まず、少しだけ自己紹介をさせていただきます。私は今年で県庁での勤務が34年目となりますが、この度初めて農林水産分野で勤めさせていただくこととなりました。生まれも育ちも稲美町、年齢は55歳。子供2人は結婚したり、大学生となり、今は母と妻の3人暮らし。8反の田んぼがあります。神戸・淡路で4年間単身赴任をしていたこともあり、米作りは近くの農家さんにお願いしていますが、これからは村の営農の大麦の刈り取り、消防団活動等に以前よりは参加できるかなと思っています。

さて、当センターは、県立の試験研究機関として、多様化する生産者や消費者ニーズを捉え、安全・安心な食生活の実現に寄与する品種改良や生産・加工技術の開発、そして開発した技術の普及による地域農業の振興に取り組んでいます。そこで、私がセンターに来て感じた凄いな、すばらしなと思うところをいくつか紹介したいと思います。

県立農林水産技術総合センター風景

まず、当センターの規模の大きさ・多様性と人材の豊富さです。農業・畜産技術センター、農業大学校がある加西の本所のほか、北は香美町から南は南あわじ市まで北部・淡路農業、森林林業、水産など農林水産各分野の7技術センターと試験地があり、合わせて約200ヘクタール。甲子園球場の約50倍の面積です。着任して以降、各技術センターなどを訪れましたが、1ヶ月では回りきれないくらいでした。一つの所属としては県庁の中でも最大級ではないかと思います。

職員は414名でうち研究職員は92名です。その3分の1が博士号を持っています。また、行政職等の職員が、研究職員と連携して、高度な技術・業務を担当し、試験研究を支えています。皆様よくご存じの山田錦についても温暖化対策等品質向上技術の開発に取り組んだり、但馬牛についてもその優位性を高める飼養管理技術の開発に取り組むなど改良を続けているほか、これもセンターで開発したのかという技術や新品種が数多くあります。詳しくはウエブサイトで確認していただければありがたいです。最近の開発ではイチゴの新品種「あまクイーン」があります。イチゴらしいカワイイ姿で、糖度が高く、ジューシーで柔らかい、摘み取り園向きのイチゴです。皆さんのお口に入る日も近いと思います。ご期待ください。そのほかにも、機密保持・将来の知的財産化等の観点からここでは明らかにはできませんが、各分野で昨年末で112もの試験研究に取り組んでいます。

「あまクイーン」

年度当初、その年の試験研究の設計を検討する会議が分野毎に延べ8日間にわたって開かれました。進捗状況を点検し、年度目標を達成するための設計になっているかなど、幹部も交えて、研究職員等の間で朝から夕方まで熱い議論が交わされました。さらに研究の中間段階では外部評価を受けるなど、より効果的・効率的な技術開発となるよう取り組んでいます。こうした取り組みにより数多くの成果を上げてきているのだと感じました。

次に、農業大学校について紹介します。

県立農業大学校

今年度は39名の新入生が入学。作物・野菜・果樹・花き・畜産の各専攻で2年間の勉強を始めました。農家以外の学生が25名。女子は17名と4割を超えています。先日、果樹専攻の新入生歓迎会に参加する機会がありました。梨をやりたい、ぶどうを勉強したいと多くの学生が明確な目標を持っています。我が身を振り返ると、この歳で自分のやりたいことに向かって生き生きと新生活をスタートさせた学生をうらやましく、また頼もしく思いました。歓迎会は、2年生が企画・実施。手づくりの心のこもった料理でもてなす温かいものでした。その場で揚げたての天ぷらを次々出してくれて、美味しかったです。

専門的な知識だけでなく、社会人として基本的な挨拶などの作法、心構えなども身につけた2年生。次代の農業を担うその姿を頼もしく思うとともに、温かく、ときには厳しく指導いただいている先生方に敬意と感謝の気持ちでいっぱいでした。中学時代からずっと果樹をしたくて、ご家族と話をして高校は普通科に行ったけど、その望みを持ち続け、念願かなって当大学校に入ってきた学生。大学生を経て少し遠回りしましたけど、農業を志して入ってきた学生も。いずれも皆、農業への意欲と希望を持って入ってきています。先生方も「うちに来た子は大丈夫。どこに出しても恥ずかしくないように育てる。」と自信と責任感を持っておられます。こうした先生がいらっしゃるからこそ、明日の兵庫の農業を担う人材が育っていくのだと実感しました。

また、今年は平成28年から32年の5年間の試験研究のあり方などを定める次期中期計画を策定する大事な年です。現在の第3期中期試験研究計画の評価(内部評価だけでなく外部評価も)と並行して、議論がスタートしました。行革プランに基づく予算・人員の削減や社会情勢の変化も踏まえ、ひょうご農林水産ビジョン2020が目指す「県民の食と暮らしを支えるひょうごの『農』の実現」を支えるセンターを目指していきます。

今大きな喜びと誇りを感じてこのセンターで仕事をさせていただいています。これからもできる限り試験研究の現場へ積極的に出向き、県民の皆様から信頼され愛される試験研究機関を目指して、そのためにも当センターが元気で活力ある職場になるよう努力してまいりますのでご支援ご指導をよろしくお願いいたします。