センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 農業技術センター所長 相野 公孝 が執筆しました。

はじめまして、農業技術センター所長の相野公孝です。

私は、1981年に兵庫県に採用後農業試験場に配属されてから病害虫の研究一筋で、あっという間に35年が過ぎ去りました。

農業技術センターの前身である兵庫県農事試験場が設立されたのが1894年、122周年になります。設立当時の公設試の役割はどのようなものだったんだろうと単純な疑問がわき、調査を開始しました。するとすぐに明治27年8月10日に施行された農商務省訓令27号「府県農事試験場規程」に行き着くことができました。その中の第3、4条が設立理由になると考えられます。記載されていることを要約しますと「第3条 府県農業試験場は農事試験場(国立)の研究成績を参照し府県内の農産の増殖改良に係る事項につき試験を行う。第4条 府県農業試験場は有益な試験研究成績を普及するために次のことを行う。①研修・指導、②種苗の配布、③報告書の作成、④展示圃の設置、⑤その他必要と認めること」となります。時代は移り変わり、意外にも私たちの所属する公設試験場の基本となる設置理念は今も変わっていないことに驚きました。よくよく考えてみると、一部の都道府県の農業試験場は地方独立行政法人となり、また、名称も農業試験場だけでなく、色々な呼び名で呼ばれてはいますが、47都道府県全てに農業試験場の機能は現在も存在します。

左:兵庫県農業試験場(戦時中に焼失し再建された。明石市)
右:農林水産技術総合センター(現在)

急激な科学技術の進歩の中、農業技術も大きく変化しています。遺伝子関係の技術はめざましく発展し、病害虫の診断は、今や遺伝子診断が中心となろうとしています。また、環境制御においても、電子デバイスの発達により低コストで簡単な操作で、ハウス内統合環境制御ができるようになりつつあります。私たちは、基本理念を忘れずに、新しい技術を利用して、これまで以上に、兵庫県の持つ特性を活かした力強い農林水産業発展を支援する農業技術の開発を加速させていきたいと考えています。