センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 北部農業技術センター所長 福島 護之 が執筆しました。

北部農業技術センターをご紹介します

最近、北部農業技術センターに関係する大きな話題がありました。ひとつは、昨年12月に地理的表示保護制度(GI)に『但馬牛(たじまぎゅう):GI第2号』と『神戸ビーフ:GI第3号』が認定され、今年の5月9日から生の牛肉にGIマークが表示されるようになったことです。もう一つは、8月18日にナシの新品種『但馬1号』(現在品種登録申請中)の愛称が『なしおとめ』に決まり商標登録が完了したことです。

神戸ビーフの素牛は、全て但馬牛(たじまうし)です。神戸肉流通推進協議会のHPをご覧いただくと詳細な説明が示されていますので、是非ご覧ください。全国に多くの銘柄牛肉がありますが、これだけ厳格な規定の下で生産されるのは『但馬牛(たじまぎゅう)』と『神戸ビーフ』だけです。

GIとは「品質、社会的評価その他の確立した特性が産地と結びついている産品について、その名称を知的財産として保護するもの」で、最初に7品目が認定され、平成28年7月現在で14品目が登録されています。その中の畜産物として本県産の2品目だけが登録されたことは、厳格なブランド管理が行われていることを認められた証拠です。

北部農業技術センター畜産部では、全ての種雄牛を育成後、産肉能力を試験しています。兵庫県の種雄牛は、厳しい競争に勝ち残ったものだけが、供用されています。最近では、おいしさを加味した選抜方法を研究していますので、これからも一層おいしい『神戸ビーフ』生産に貢献していきます。

神戸ビーフのGI登録証とGIマーク表示例(神戸肉流通推進協議会HPより)
   

一方、『なしおとめ』は、兵庫県が20年をかけて育成した青ナシの新品種で、『二十世紀』より早い8月中旬に収穫できます。品種の特性は、『二十世紀』よりも糖度が高く、果実も大きく、芯が小さいことから可食部が多いことです。今後、栽培面積を広げて生産拡大を図り、2年後の平成30年8月の店頭デビューを目指していますので、楽しみにしておいてください。

『なしおとめ』

この他にも、 農業・加工流通部では、コウノトリ米、アサクラサンショウ、丹波黒大豆やヤマノイモなどの特産作物の栽培や保存、加工技術に関する技術開発を進め、より安全で、美味しい農産物の提供に努めています。私たちの研究の成果については、平成5年から毎年秋に「北部農業技術センターの公開デー」で広く紹介してきましたが、平成22年に宮崎県で口蹄疫が発生したことを受けて小規模な「おもしろミニ講演会」に変更していました。今年から、秋の開催を取りやめ、小学生に収穫体験を行っていただく「夏休み食と農の体験イベント」に変更し、8月20日(土)に開催しました。今回は、初めての開催ということもあり参加者はやや少なかったものの、参加いただいた小学生のアンケート結果では「楽しく体験ができた」と満足の回答を多数いただきました。来年も趣向を凝らして夏休みの期間中に開催しますので、今後ともよろしくお願いします。

ブルーベリージャムづくり体験とトウモロコシの収穫体験