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センター雑感

当センターの各部署が順に担当して、季節の風景や出来事など様々な話題を紹介します。
今月は 企画調整・経営支援部 課長 牧 浩之が担当します。

梅 雨 時 の セ ン タ ー

農業分野を含む自然科学系の研究では、データとして、写真を残すことが大切です。今回は調査記録の中に紛れ込んでいた、梅雨時のセンターの風景について、皆さんにご紹介します。
 兵庫県も遅い梅雨入りとなり、雨模様の日々です。今年に限らず、大雨となることも多く、時には「バケツをひっくり返した様な」という降り方になることもあります。その合間にセンターの敷地内を歩いていると、オニフスベという直径25cm位のキノコを見かけることがあります。このキノコは最大50cmにもなり、一晩で発生し、驚かれる方もいますが、そう珍しい物ではありません。一見巨大なマッシュルームの様で、若い内は食用にもなるそうです(私は食べたことはありませんが)。

大雨の本館から北側を望む
巨大なキノコ「オニフスベ」

また圃場の周辺にはツユクサの花をよく見かけます。この花は大変きれいな青色で、その色素は古くから研究されていましたが、結構難しかったらしく、精製から、構造の解明までに30年以上かかったそうです。日本人研究者による地道な研究です。その正体はアントシアニン系の色素とフラボン、マグネシウムがあつまったコンメリニンという青色色素で、他にはないきれいな青色です。

ツユクサ

その隣にはヒメジオンも咲いていました。北アメリカ原産の雑草ですが、かわいらしい花です。それもそのはず、江戸時代末期に鑑賞植物として導入されたそうです。その後雑草化し、鉄道の線路沿いに広がったことから、「鉄道草」とも呼ばれることもあります。現在は日本全国に広がり、場所を選ばず繁茂し、繁殖力も強いことから、環境省により、要注意外来生物に選定されています。この茎に大きなアブラムシがいましたので、これもついでに写真に収めました。

なかなか可憐な要注意外来生物
ヒメジオンにつくアブラムシ

これは当センターの職員の方が持参してくれたユリの花ですが、この花は全て1本のユリの茎から咲いています。いろいろな植物でよく見られる奇形で「帯化」といわれています。茎の先の成長点で異常が起こり、点であるべき成長点が線状に変形したものです。このユリでは一本の茎から50個以上の花が咲いていました。

一本の花で花束が

最後に農林水産技術総合センターは周囲の開けた田園の中にあり、雨上がりにはきれいな虹や夕焼けを見ることもできます。我々は、このような恵まれた環境の中、日々試験研究にいそしんでいます。

雨上がりの虹
センター本館から見た落日