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センター雑感

当センターの各部署が順に担当して、季節の風景や出来事など様々な話題を紹介します。
今月は畜産技術センター 家畜部 課長 大崎 茂 が担当します。

但馬牛を守るために

4月に畜産技術センターに赴任して最初に感じたことは、家畜伝染病予防の徹底ぶりです。かつては、希望があれば種雄牛の飼育状況を見学できるなどオープンな施設でしたが、現在では「口蹄疫」などの家畜の伝染性疾病の侵入を防ぐため、「人」「車両」「牛」「物品」などを飼養衛生管理区域である牛舎の敷地内へ入れるために様々な制限を加えています。今回は、その取り組みについて説明します。

(1)「人」

畜産技術センター正面に更衣消毒棟という建物があります(写真1)。職員は、この建物内にある外部更衣室で服を脱ぎ、エアシャワーを通って、内部更衣室で牛舎用作業服に着替えて敷地内に入ります。長靴も牛舎敷地内専用のものを使います。飼料配達や宅配便など用事のある人は更衣消毒棟の受付で対応を行います。ちなみに、後ほど出てくる検疫牛舎で対応する職員は、検疫が終了するまでの3週間、畜産技術センターの牛舎敷地内には入れず、事務も外の執務室で行うことになっています。一方、外部の人は、原則敷地内立ち入り禁止にしています。

   
写真1 駐車場から見た更衣消毒棟

(2)「車両」

来場する車両は、更衣消毒棟前にある外部駐車場に駐車してもらいます。飼料配達などの車両は、消毒ゲート(写真2)を通って更衣消毒棟前まで来ることはできますが、牛舎敷地内に入ることはできません。出荷時のトラックについても同様で、牛を敷地外に引き出して積み込みを行います。

   
写真2 消毒ゲートでタイヤ、車体を消毒

(3)「牛」

畜産技術センターには、定期的に試験用の牛や種雄牛などが搬入されますが、これにも制限があります。搬入予定の牛は、まず、畜産技術センター牛舎と別場所にある検疫牛舎に搬入されます(写真3)。ここで、3週間飼育を行い、問題がないことが確認できた牛だけが搬入できます。北部技術センターから移動してくる牛についても同様の手続きをとります。

   
写真3 検疫牛舎の外観

(4)「物品」

牛を飼育していると、飼料・敷料は定期的かつ大量に必要ですが、これについても制限を加えています。濃厚飼料は、敷地境界線であるフェンスの外から飼料運搬車のブームを使って牛舎敷地内の飼料タンクに充填をしていきます(写真4)。一方、乾草・敷料は、牛舎敷地境界に建設した倉庫の外側搬出入口から搬入を行います(写真5)。オゾン消毒をした後、乾草・敷料は内側搬出入口から敷地内に搬入を行います。手で持てる物品は消毒をして搬入、持てない重い物品は、乾草・敷料と同様の処理を行います。

   
左:写真4 飼料運搬車から飼料タンクへ、右:写真5 牛舎敷地内から見た飼料倉庫

最後に、畜産技術センターがこのような取り組みを行っているのは、但馬牛の種雄牛を守るため、但馬牛の未来を守るためです。北部技術センターでも同様の取り組みを行い、種雄牛の分散管理を行っています。万が一、家畜伝染病予防法の特定家畜伝染病に該当する病気が出た場合、畜産技術センター内すべての牛が殺処分の対象になり、種雄牛も例外ではありません。そのような状況にならないためにも、敷地内に入る人・物などを制限して、但馬牛の遺伝資源を守りながら、試験研究を進めています。