今年の夏は暑い日が続き、人もウシも大変でした。
夜だけでも涼しいといいのですが、夜もずっと暑く、ウシには過酷でした。
ウシの4つある胃の内、一番目の胃は発酵タンクであるため、エサが入ると熱がでます。ウシはそれを感じるため、暑いときには採食が減り、涼しくなるのを待ちます。
乳牛が暑熱ストレスを感じる気温は25℃と言われ、27℃を超えると乳生産に影響がみられます。
この温度は公共施設の冷房温度28℃より低い温度です。27℃を超えるとエサを十分食べられなくなるため、1日30~50 Kgを作る牛乳生産がうまく稼働しなくなります。つまり、泌乳量や乳質の低下がみられ、さらに病気にも罹りやすくなります。
暑さ対策のために、牛舎は色々と工夫されています。冷房設備はありませんが、風通しを良くするために、窓を開放し、扇風機、換気扇、屋根の散水、さらに遮光等の対策がとられています。
この数年、飼料費が高騰し、乳価はそれほど上がらないため、酪農家の経営は大変です。
飼料費対策として、自給飼料が重要です。淡路農業技術センターでは8月中旬にトウモロコシとソルゴーの混播牧草を収穫し、サイレージ(漬物)にするためにサイロに保存しました。今年は春に降った多雨の影響により、トウモロコシの生長が悪く、収量が例年の25%減となりましたが、サイレージは経営を助ける貴重な飼料です。
秋は共進会のシーズンです。これは、ウシの美人コンテストであり、理想の体型に近いかどうかを競うショーです。
審査は乳ウシの改良目標である、高い生涯生産能力と長命連産性を達成できる体型を作るという基準で行われます。
育成牛は発育が良く、バランスが取れているか、経産牛では体がシャープで、健康で活力があり、足腰が強く、お産を重ねても乳房が膝より下に垂れていないかをみます。
出品者はウシを奇麗に洗って、体やしっぽの毛を調髪し、体表の毛づやを出したり、ウシの姿勢や行動を自在にコントロールする、いわゆる出品技術と呼ばれるワザを競います。
淡路技術センターは積極的に共進会に参加していますが、当センターの出品牛は毎年、好成績を収めています。