但馬牛の里には、いろいろなスタイル、系統の但馬牛が飼育されています
今年も、第91回兵庫県畜産共進会が10月29日(木)に開催され、素晴らしい秋晴れの下、無事に終了しました。種牛の部名誉賞には、香美町の上田伸也さんの「てるふく」号(種雄牛 菊俊土井の産子)が選ばれ、見事な体積(サイズ)、均称(プロポーション)、資質(毛皮、顔)など、素晴らしく美しい但馬牛の艶姿を見せてくれました。
但馬牛の改良は、純系統維持やブランド力の強化のため但馬牛のみを交配に用いる閉鎖育種により進めています。但馬牛には、中土井系、城崎系、熊波系の大きく3つの系統があります。古くは県内の各地でその特徴ある系統が守られてきましたが、人工授精技術の普及、霜降り牛肉が生産される頻度の高い中土井系の人気種雄牛に授精の希望が集中し、県内の但馬牛は、中土井系一色の様相が強くなってきていました。また、近交係数(血縁の指標)も高くなってしまいました。
兵庫県では、能力重視の改良とともに、近交係数の上昇を避けるためにジーンドロッピング(遺伝子成分分析)の手法を使って、新しい系統の分類(G1~4:城崎系、G,5~7:中土井系、G8:熊波系)と、その異なる系統間での交配を目ざし、新しい系統分類による但馬牛の分類と種雄牛の造成を進めています。
北部農業技術センターには、但馬牛の里として、新しい系統の種雄牛や、少なくなった城崎系や熊波系の雌牛や、雄牛候補牛が飼育されています。
基本的には、神戸ビーフとなる肥育牛の肉質、繁殖性(産子数や子育能力)の育種価(指標)を元に改良を進めていますが、新しい系統の種雄牛造成の過程では、昔の但馬でみられたような登り背の雄牛もおり、いろいろなスタイルや系統の但馬牛が飼育されています。