牛飼いの基本はエサ作り
牛飼いの基本はエサづくりと言われます。乳牛1頭で乾草(いわゆる粗飼料)を1日12~3㎏、それに泌乳量にあわせてトウモロコシなどの穀類(いわゆる濃厚飼料)を2㎏から13㎏食べます。トウモロコシなどの穀類は輸入されおり、一昨年からのバイオエタノール需要などによる価格高騰は畜産経営に多大な影響を与えました。また乾草についても、兵庫県のような土地基盤の弱い地域ではそのほとんどを輸入に頼っており、アメリカやオーストラリアの牧草の出来や為替相場の変動に一喜一憂する日々が続いています。
このような中、我が国畜産の安定的な発展のためには、やはり基本であるエサづくりをしっかりやること、すなわち飼料自給率の向上が重要であるとの考えから、国では純国内産自給率を現状(平成19年度)の25%から35%(平成27年度)にあげる目標を立て、飼料作物の増産やエコフィードと呼ばれる食品製造工程で発生する残さ(おから、しょうゆ粕等)の有効活用といった対策を講じています。
前置きが長くなりましたが、淡路農業技術センターでは約70頭の乳牛(うち成牛35頭)を飼育しており、そのエサとして飼料作物を栽培しています。場内の約3.4ヘクタールの畑で、今年は4月にトウモロコシ・ソルゴーを混合して播種し、8月中旬に刈り取りを行いました。それ以後に伸びてきた2番草は年明けに刈り取る予定です。刈り取り後は細かく切ってサイロに詰め、サイレージとして保存します。サイレージとは漬け物のようなもので、よいサイレージは乳酸発酵の甘酸っぱいよい香りがし、牛もモリモリ食べてくれます。
今年は天候にも恵まれ豊作でした。おかげで8月の収穫時にはサイロに入りきらず、あふれた分をラップサイレージにしました。ラップサイレージとは牧草を薄いフィルムでぐるぐる巻きにして乳酸発酵させるもので、大きな施設が不要で、取り扱いもしやすいことから最近普及してきたサイレージの調整方法です。
さて、飼料作で頭を悩ませるもののひとつに雑草があります。最近は輸入飼料などに混ざって外国の雑草が侵入し、飼料作に取り組む農家では、その対策に苦労されていることと思います。当所でも、特に雑草のひどい畑は8月の刈り取り以降の2番草はあきらめて、徹底的な雑草対策を講じているところです。
世界的な気候や社会情勢の変動をみるにつけ、エサはできるだけ自前で、と考える今日この頃です。