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センター雑感

当センターの各部署が順に担当して、季節の風景や出来事など様々な話題を紹介します。
今月は北部農業技術センター 畜産部 研究主幹 福島護之が担当します。

兵庫県の宝『但馬牛の種雄牛』を守る

平成22年4月20日に宮崎県で口蹄疫の感染が確認されました。国内での発生は、平成12年以来のことです。宮崎県での発生と同時に北部農業技術センターでも防疫対策を行ってきました。口蹄疫にかかると、子牛や子豚では死亡することもありますが、成長した家畜では死亡率が数%程度といわれています。しかし、偶蹄(ぐうてい)類動物に対するウイルスの伝播力が非常に強いので、他の偶蹄類動物へ感染させないようにするための措置が必要です。当センターでは種雄候補牛という若い雄牛や改良に欠かせない希少系統の雌牛を多数管理していることから細心の注意を払っています。そこで、新聞紙上でも報道されましたが、種雄牛の分散管理を中心とした当センターでの取組状況をお知らせします。

まず、畜産ゾーンへの立ち入り制限と消毒の徹底を行っています。宮崎県での発生と蔓延の状況からも関係者以外の立ち入りの管理が重要となります。4月20日からゲートを設置して道路を遮断すると同時にロープにより広場からの牛舎への出入りを規制しました。その後、写真のような動力噴霧器を道路脇に設置して、進入車両すべての消毒を実施しています。当センター職員も畜産ゾーンの消毒ゲートの外に自家用車を駐車し、踏み込み消毒槽で靴底を消毒して畜産ゾーンへ入るようにしました。牛舎周辺には石灰散布を行い消毒を徹底しています。

これまで、農家販売用の精液及び基幹種雄牛12頭は全て加西市の畜産技術センターに保管・管理してきました。しかし、危険分散のため、まず、4月30日に精液の分散管理を開始しました。さらに、種雄牛の分散管理を実施するために、5月26日と27日の2日間に基幹種雄牛12頭の内の3頭と年齢の異なる待機牛(検定結果が出るのを待っているいわば受験生)3頭の計6頭の入れ替えを行いました。

現在、車両消毒ゲートと畜産ゾーン周囲の防護柵の設置工事を進めており、但馬牛種雄牛を守る対策の第1段が終了します。

今後とも兵庫県の宝『但馬牛の種雄牛』の改良を続けていくと同時に、疾病から守る対策に万全を尽くしていきます。

   
左:導入路でのバリケードと消毒用噴霧器の設置、右:牛舎周辺への石灰散布による消毒
左:基幹種雄牛の到着(畜産技術センターから)、右:若い種雄牛の旅立ち(畜産技術センターへ)