ハチ刺されとヤマビルの吸血
森林には、クマ、ハチ、マムシ、ヤマビル、などの危険な生き物も多数生息しています。
森林林業技術センターの敷地内においてもシカやマムシが出没し、ハチやヤマビルによる被害が発生しています。
「ハチ刺され被害」
日本では毎年40人近い人がハチ刺されにより命を落としています。
特にアシナガバチ、スズメバチによる被害が多く、巣が作られる7月から9月頃に被害が多く発生します。
ハチは巣を守るために、巣を振動させたり、壊したり、巣に近づくものに襲撃して毒針で攻撃します。ハチの種類によって異なりますがアシナガバチは巣から半径3m、スズメバチは10m以内に近づくと襲われることがあります。
ハチは普通直線的に飛びますが、巣の近くでは斜めに空に向かって飛んだり、巣の上空では旋回したりするので注意して観察すれば巣を見つけることも出来ます。
もしハチに刺されたときは、なるべく早く毒を出すことが大切で、吸引具や口の届くところは強く噛んで毒を絞り出します。アナフィラキシーショック等の症状がひどい場合は5分程度で死亡に至る場合もありますので、ハチアレルギーの体質の人はこの時期特に注意が必要です。アシナガバチの巣を駆除する場合は、防蜂の服装で静かに巣に近づき風上からエアゾール殺虫剤を噴霧します。スズメバチの場合は巣が大形でハチに殺虫剤がかかりにくく、ハチの数、攻撃性、毒性が強く大変危険なため専門家に任せる方が良いと思われます。もし駆除する場合にはスズメバチ用の防護服等万全の準備が必要です。
「ヤマビルの吸血被害」
近年、兵庫県内でもヤマビルの生息区域が広がっています。
シカの生息範囲の広がりとともにシカがヤマビルをつけたまま人里に出没するようになり、人家周辺でもヤマビルによる吸血被害が増えています。
ヤマビルとシカは深い関係があり、シカの蹄間は吸血しやすく同じ箇所を何度も吸血することで瘤条の穴ができてヤマビルが半寄生状態となっている場合もあります。
ヤマビルは落ち葉の下など湿度の高いところに生息し、5月~10月頃の雨上がりや高温多湿時に活発に活動し、吸血から1ヶ月で産卵し、さらに1ヶ月後に幼虫が孵化します。
ヤマビルは、3㎝から5㎝程で体の前と後ろに吸盤があり、前吸盤にあるセンサーで吸血する動物の振動・熱・呼気・臭い等を探索しながら尺取り虫のように移動します。
前吸盤の唇には細かい歯があり、歯で皮膚を切り裂いて血を吸います。
被害部位は足が多く、ヒルは吸血時に血液が固まりにくくするヒルジンという物質や吸血時に痛みを感じさせないモルヒネのような物質を出したりするため、吸血されていても気がつかなかったり、吸血された跡が数時間も血が止まらなかったりします。
このため、吸血中のヒルを発見した場合は無理に剥離すと傷口が大きくなるので、ヒルが離れるようにヒルの忌避剤やタバコの火を当てると傷口も小さく出血やかゆみも少なくて済みます。ヤマビルの吸血跡から細菌が入って感染症になったり、吸血跡のかゆみが長期間続く場合がありますので注意が必要です。
※ 特に夏場の作業では、ハチ、マムシ、ヒルなどの被害に遭いやすいので注意をしましょう。