今年は遅く感じた「春の訪れ」
私は4月に毎年「春の訪れ」を感じます。花の便り、ツバメの到来、タテハチョウの飛来、肌で感じる温度、春の山野草の萌芽等々・・・
今回、AMeDAS福崎地点の温度データをみてみました。今年の日平均気温の変化は1、2月は平年より気温が低く、3月は日変動が大きく、4月はまた低くなったことが読み取れました(図1参照)。4月30日までの日平均気温の積算値は、平年の804日度に比べ、82℃低い値を示しており、日数にして7日程度「春の訪れ」が遅れたといえます。実際、虫の発生は遅れ、春の山野草の一種でありてんぷらにしたら美味しいコシアブラの萌芽も10日程度遅れていました。
比較のために去年の様子もみてみました。4月30日までの日平均気温の積算値は、平年の804日度に比べ70℃高かった。特に2月末からは4月並の気温の日が多くなり、「春の訪れ」は異常に早かった。しかし、暖かい日が続く中に低温の日があり、農作物に低温障害が多くみられました。また、7~10月の長期間にわたって平年より気温が高く、暑い夏から短い秋でした。この長期高温が、水稲生育を害して、極早生のキヌヒカリから、中生のヒノヒカリまで米の品質に大きく影響し、県産ヒノヒカリは過去80%程度だった一等米比率が16%と大きく低下しました。
日平均、日最高、日最低気温のデータは植物の生育の早晩や昆虫の発生時期を考えるとき最も基本となる値です。下の参考の表に示す昆虫の発育零点と有効積算温度の値をもとにして日平均気温から各昆虫の発育日数が求められます。農作物の害虫の発生時期の予測を行う場合に応用できますので皆様一度計算してみてください。