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センター雑感

当センターの各部署が順に担当して、季節の風景や出来事など様々な話題を紹介します。
今月は企画調整・経営支援部 主幹 芦田 義則が担当します。

当センターの役割は、「ひょうご農林水産ビジョン」が目指す『県民の食と暮らしを支えるひょうごの「農」』の実現を支える技術を開発し普及することです。この役割を果たすための羅針盤となる中期試験研究計画が策定されて半年が経過しました。

この計画において、「今後の試験研究は、ビジョンに盛り込まれる施策と密接に連動させながら、限られた研究資源を有効活用して、研究分野のさらなる重点化を図る」としています。これを推進するための基本的な手法は、研究の入口から出口に至るまで、研究、普及、行政の各組織間連携を一層強めることです。この半年、企画調整・経営支援部は、県庁主管課である総合農政課とともに、各組織の意見を聞きながら具体的な連携強化策や研究課題の評価体制を検討してきました。

まず、試験研究課題調書の様式変更と共同作成です。普及・行政担当者の記載欄を新たに設け、「研究の入口→研究の内容→研究の出口」を明確かつ端的に記載できるよう改善しました。特に、農林水産施策との連動、技術の移転体制や普及目標(実績)の内容は、普及・行政組織との綿密な打ち合わせを経て記載することにしました。このことにより、評価会議においては、プレゼン主担当の研究組織だけでなく連携する普及・行政組織も一体となって、評価委員からの質問や意見に応答することとなります。

さらに、開発技術のユーザーによる評価を強化するため、現在、生産・流通・販売に携わる業界団体の外部評価会議への参画を検討しています。

最近、中期試験研究計画の策定段階では具体的に議論されていなかった動きが出てきました。

社会科学的視点に立った研究課題の設定と評価です。先日、(独)農研機構近畿中国四国農業研究センターから二人の講師をお招きして当センターで「社会科学的考察に関する研修会」を開催しました。

試験研究課題の設定や評価に当たり、生産現場ニーズの把握や開発技術の普及に対する社会科学的考察(経済的・経営的評価等)は、当然重要視されてきました。しかし、このことについて研究部署が科学的に説明を行い、評価する側も科学的に行ってきたかというと、残念ながら弱く、ほとんどの場合は定性的な説明・評価にとどまっていました。定性的分析に加えて、数量的・定量的分析を行い考察することで、「農林水産業を支える技術開発」が高い確率で実現できます。難しい課題でありますが、今後、ワーキンググループ等を立ち上げて検討を深めていきたいと考えています。

いよいよ、9月下旬から5日間の日程で当センターの試験研究マネジメント会議が始まります。その後、農政環境部における内部評価会議、さらに、外部有識者等による外部評価会議へと進みます。

新たにスタートした中期試験研究計画と評価体制のもとで、活発な議論が展開されます。より良い方向付けがなされることで、これから開始する研究や生まれてきた研究成果が本県農林水産業の確かな支えになることを確信しています。