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センター雑感

当センターの各部署が順に担当して、季節の風景や出来事など様々な話題を紹介します。
今月は農業技術センター 環境・病害虫部 研究主幹 前川 和正が担当します。

植物の辛み成分を利用してホウレンソウの病気を防ぐ

環境・病害虫部の病害虫部門では、環境にやさしい方法で作物の病害を防ぐ研究をしています。カラシナという植物をご存じでしょうか。菜の花のような黄色い花を咲かせるアブラナ科の植物で、葉や茎をすりつぶすと、その名前のとおり辛み成分(アリルイソチオシアネート)を発生します。この成分は食品の「からし」、「わさび」の辛み成分と同じものです。刺身はわさびをつけて食べるとおいしいですが、わさびは食中毒の低減にも一役買っています。というのは、辛み成分は抗菌性を持っているからです。この性質を利用して、夏~初秋穫りホウレンソウの病害である萎凋(いちょう)病を防除する技術を開発しました。

   
写真 ホウレンソウの萎凋(いちょう)病の症状
(葉がしおれ、ひどくなると株全体が枯れます)
   
図1 カラシナのすき込み手順

具体的にカラシナによる防除方法を図1で説明します。

  1. 5月末~6月初旬、消毒するハウスにカラシナを播種し、開花するまで栽培(約45日)します。
  2. 7月中旬、刈り払い機などで茎葉を細断、トラクターで土壌にすき込みます。
  3. 散水チューブを敷設し、上から透明フィルムで被覆して飽和するまで散水してハウスを閉め切ります。
  4. 3週間後、被覆をはずし、1週間ほど土壌を乾かしてホウレンソウを播種します。

この方法を用いると、この病気の多く発生したところでも発病を減らすことができます(図2)。健全な株が増えることで、収量が多くなります。また、雑草を減らす効果もあります。

   
図2 カラシナをすき込んだ後のホウレンソウの生育
左:無処理(病気で枯れ、雑草が生えています)
右:カラシナ処理(萎凋(いちょう)病の発生が少なく、健全株がそろって生育がよいです)