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センター雑感

当センターの各部署が順に担当して、季節の風景や出来事など様々な話題を紹介します。
今月は但馬水産技術センター 研究主幹 森 俊郎が担当します。

さ か な 屋 さ ん の ひ と り ご と

前回は、兵庫県の日本海側(但馬地方)でつくられている“水産加工品”とその“原料”について紹介しました。これらの海の幸には、活魚や鮮魚として流通し生食用(刺身)として食卓にあがるものや、一夜干しや練り製品のように加工品に姿を変えているものがあります。いずれの場合も、最近では調理されてから店頭に並ぶことが多く、原料の姿を目にすることが少なくなりました。

今回は、私が今までに受けた加工相談の中で問い合わせの多かった、「良く似てるけど実は別もの(エビ・カニ編 )」を紹介します。写真をよ~く見て、違いを見つけてください。

青色のカタカナは標準和名、緑色のひらがなは但馬地方での呼び方です。

   

ホッコクアカエビは、但馬沖では水深220~350mに棲んでいて、底びき網で獲ります。濃い赤色をしていて、刺身用として“冷凍品”や“剥き身”になって売られているものもあります。回転寿司にもよく登場しています。

トゲザコエビは、但馬沖では水深200~1700m以深に棲んでいて、底びき網で獲ります。鮮度が落ちると黒くなるのが早いので、“刺身用”の鮮魚として地元で流通することが多いです。

クロザコエビは、但馬沖では水深170~250mに棲んでいて、底びき網で獲ります。“刺身”として利用されることが多いですが、頭の部分はみそ汁の出しとしてもよく使われます。最近では、“刺身用”に漁船上で冷凍したものや、“活魚”として流通するようにもなっています。

イバラモエビは、但馬沖では水深190~280mに棲んでいて、底びき網で獲ります。“刺身”や“塩焼き”として利用されることが多いエビです。上の3種類よりも取れる量が少ないので、レアものです。

   

ベニズワイガニは、水深1000~2000mに棲んでいて、カニ篭で獲ります。茹でる前から、背中もお腹も赤い色をしています。鮮度が落ちると黒くなるのが早いので、“茹でがに”や“剥き身”になって売られていることが多いです。最近は、“香住がに”の名前で登場することも多くなってきました。

ズワイガニは、水深150~1000mに棲んでいて、底びき網で獲ります。このかにの雄は、山陰では“松葉がに”の名前で呼ばれています。茹でる前は、上の写真のような色をしていますが、茹でると背中側だけ赤くなります。“鮮魚”や“活魚”、“茹でがに”として売られていることが多いです。

今回は、「良く似てるけど実は別もの(エビ・カニ編)」を紹介しました。次回は、「良く似てるけど実は別もの(イカ編)」を紹介する予定です。