加工流通の試験研究
私の所属する北部農業技術センター農業・加工流通部は、名前のとおり県産農産物の加工や流通を研究しています。単に「加工」、「流通」という言葉で表されていますが、農産物の収穫以降全ての段階が研究対象です。このため、関わる品目・分野が多岐にわたる、非常に間口の広い研究部門となっております。
私が今年関わった2つのテーマについてご紹介いたします。
1つ目は、「但馬1号」(愛称:なしおとめ)の早期出荷技術の開発です。「なしおとめ」は当センターの果樹園で育成され、県北地域で推進されています。この「なしおとめ」、現状では、8月中下旬の2~3週間ほどで収穫され、流通量は多くはありません。もう少し収穫を早めることができれば、人出の多いお盆の時期に出荷できるので、より多くの方にご賞味いただくことが可能となります。そこで、令和元年度より「なしおとめ」の早期出荷技術の開発が始まりました。私は今年度から携わりました。2年間の研究結果として、他の品種では熟期促進に有効だと知られている「ジベレリン」という植物生長調整剤について、「なしおとめ」の花の満開から40日経過時点で果梗(“ヘタ”の部分)に塗布すると、7日間ほど熟期が早まることが明らかとなり、早期出荷技術として有効であることが分かりました。
2つ目は、ひょうご食品認証制度運用のための技術的な支援です。
県認証食品は安全、安心で個性・特徴のある県産品を認証する制度です。認証にあたっては製品の品質などの科学的根拠に基づいた評価が必要とされているため、県の様々な研究機関が技術面で協力して運用されています。私は農産加工品を担当しており、申請品の品質検査や、現地にお邪魔しての製造所審査等を実施しております。
兵庫県は“五国”とも言われるほど多様性が特徴的な県ですが、各地から申請される農産加工品も本当にバリエーションが豊富で、どれも地域ならではの工夫が凝らされています。店頭で見かけられたときは是非お買い求めください。
なお、今年から認証食品のロゴマークがリニューアルされました。兵庫県のマスコットとして人気者の“はばタン”が兵庫県を優しく包み込んだようなデザインになっています。