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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は北部農業技術センター 上席研究員 廣田 智子が担当します。

兵庫県育成の枝豆を美味しく食べるポイントは、保存方法と冷凍方法にあり

 枝豆(エダマメ)は夏から秋にかけて人気の高い野菜です。特に兵庫県では、黒大豆の枝豆栽培が盛んで、兵庫県で育成した特徴ある4品種「黒っこ姫」「茶っころ姫」「さとっこ姫」(以上、ひょうご枝豆3姉妹)、「兵系黒4号」(愛称:ひかり姫)および「丹波黒」をリレー栽培することで、8月下旬から10月中下旬までの比較的長期の出荷が可能となります。

   
   

 枝豆は、野菜の中でも収穫後の品質低下が大きいため、保存方法が重要です。図1は収穫後の枝豆のショ糖含量の変化を示しています。枝豆の甘さに関係するショ糖含量を保持するには、低温保存(5℃)が効果的で、保存5日後まで風味は保持されました。一方、常温保存(25℃)の場合、収穫後からショ糖含量は大きく減少しました。このことから、収穫(または購入)後の枝豆は、すぐに茹でるか、冷蔵庫に保存しておくとよいことがわかります。

   

 すぐに食べない場合は、冷凍保存をしましょう。品質のよい冷凍枝豆を製造するには、冷凍前にブランチングという処理を行います。ブランチングとは、酵素の働きを止めるために沸騰水中で茹でて加熱処理することをいい、適切に行うことで解凍後の変色防止や食感・風味の保持に効果があります。枝豆の好ましい硬さから適切なブランチング時間について検討しました。その結果、冷凍・解凍条件により好ましい硬さ(破断荷重3Nから5Nの範囲)となる処理時間は異なり、急速解凍(凍った枝豆を沸騰水中で2分間加熱)時の適切なブランチング時間は5分間でした(図2)。一般的に冷凍前に行うブランチングは、生野菜を茹でるのに必要な時間(100%)に対して70%から80%程度の処理時間が目安となります。

   

 兵庫県育成の枝豆は、8月下旬から10月中下旬までの時期に地元の量販店や道の駅などで販売されます。保存方法と冷凍方法を適切に行うことで、収穫直後の枝豆の美味しさを長い期間味わうことができます。