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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は淡路農業技術センター 研究員 満田 祥平が担当します。

私の試験研究

 県下随一の園芸産地である淡路島では、花づくりが盛んです(淡路島、花というとジャパンフローラ2000、通称淡路花博を連想される方が多いと思いますが、あれから21年経ちました。当時小学生だった私もおじさんになりました)。なかでもカーネーションやストックといった切り花は関西有数の産地です。私は切り花の生産・品質面での向上や、作業の省力化等を図るべく、試験研究に取り組んでいます。本稿では、その一部をご紹介いたします。

1 カーネーションの開花予測にチャレンジ
 カーネーションが国内で年間約6億本使われているってご存知でしたか?カーネーションと聞くと、母の日や彼岸でお墓に供える仏花をイメージされる方が多いかと思います。実は年間を通して引き合いがあり、そのうち約6割を輸入に頼っており、その割合は増加傾向にあります。
 輸入に左右されることなく、国内生産者が安定した単価、供給量を維持するためには、開花予測が必要と考えています。一方で、これまで実用的なカーネーションの開花予測は難しいとされてきました。そこで、近年身近となりつつあるAIを利用し、①ほ場の画像から蕾(つぼみ)を検出、②その蕾の生育のステージを分類、③気象データ等から開花を予測する、ことが可能かどうかに取り組んでいます(図)。

   
図 開花予測のイメージ

2 淡路島に適した品種を選抜
 毎年数多くの新品種が作出されるカーネーション、そのほとんどは国外で育成されています。国外で育成された品種のなかには、日本の気候や栽培管理方法に適さないものがあります。生産者にとって種苗費は生産コストの大部分を占めることから、品種選定は非常に重要です。
 淡路農業技術センターでは、毎年新品種を含む100品種以上のカーネーションを試作しており、生産・品質面から淡路島に適した品種を選抜しています(写真)。毎年12月には生産者向けの説明会を実施し、生産者の次作、次々作の品種選定の参考となる試作結果を提供しています。データのみでなく、自身の感覚、はっきり良いものは良い、ダメなものはダメと伝えると生産者からのウケが良いです。

   
写真 品種比較ほ場の様子