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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は農業技術センター 環境・病害虫部 主任研究員 相野公孝が担当します。

「微生物で病害を防除!」

環境に付加をかけず、化学農薬をできるだけ使わない、病害の防除法をこれまで研究してきました。トマトを犯す大病害青枯病・根腐萎凋病を微生物で防除することに成功しました。さらに現在、生産現場で使いやすいように、トマトの種に微生物をコーティングする研究を行っています。コーティング技術はほぼ完成し、実用化試験を行っているところです。

<これまでに得られた結果>

は青枯病、は根腐萎凋病が発生し被害がでます。青枯病は6月上旬から10月上旬の間に、根腐萎凋病は1月上旬から4月下旬に発生します。

ともにトマトを枯らして収穫ができなくなります

   
左:トマト青枯病の病徴、右:トマト根腐萎凋病の病徴
   

シュードモナス フルオレッセンス剤「セル苗元気」を産・学・官共同研究で開発しました。

30,000菌株の蛍光性シュードモナス属細菌から選抜した菌株をセル育苗用の培土の中に混和しました。「セル苗元気」にトマトの種を蒔くだけで、選抜した菌株がトマト苗の根に侵入し、青枯病菌や根腐萎凋病菌を寄せつけなくします。(国内特許6件、USA特許1件取得済み)

   

種子コーティング技術の開発(商標:ライブコート)

  1. 種皮の内側に有用な微生物を減圧し潜り込ませる。
  2. その種子をペレット加工またはフイルムコートする。
  3. 微生物にストレスを与えないように低温除湿乾燥する。(国内特許申請中)
   

<研究開発の感想>

昨今、一つの技術(商品)を開発するには多くの分野が共同で研究することが必要となります。

農業分野、工業分野及び医学分野等それぞれの考え方が異なります。1つのチームとして共同研究を開始した最初は違和感を感じますが、共同研究が成功するかしないかは、お互いの考え方が理解し合えるかどうかに関わるように思えます。

今後も多くの分野と考えを共有し、新しい技術を開発したいと考えています。