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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は畜産技術センター 家畜部 主任研究員 岡 章生が担当します。

但馬牛・神戸ビーフはなぜ美味しい?

但馬牛(たじまぎゅう)・神戸ビーフはなぜ美味しいのでしょうか。それは、県外産牛との交配を一切行わず、純血を守り続けてきた牛を愛情いっぱい、丹精込めて育ててきたからです。科学的には、但馬牛・神戸ビーフは美味しさ成分の一つであるモノ不飽和脂肪酸(代表的なものはオレイン酸)とイノシン酸が他の品種、血統に比べ多いことがわかっています。

【これまでに得られた結果】

牛肉の風味は、モノ不飽和脂肪酸が多いほど良いと言われています。兵庫県と中国地方の4県(A~D)で実施された産肉能力検定肥育牛315頭のロース肉の脂肪酸組成を分析した結果、但馬牛(兵庫県産牛)は他県産に比べモノ不飽和脂肪酸割合が有意に多いことがわかりました。

   

食肉のうま味には、昆布に多く含まれるグルタミン酸や鰹節に多く含まれるイノシン酸が影響します。黒毛和種肥育牛54頭のロース肉のイノシン酸含量を分析した結果、イノシン酸含量は種雄牛(A~L)によって大きく異なり、但馬牛(兵庫県産牛)は他府県牛に比べて、イノシン酸含量が高い傾向がみられました。

   

【今後の展望】

牛肉中のモノ不飽和脂肪酸割合やイノシン酸含量がどの程度であれば食べて美味しく感じるか・・・・についてはまだ明らかになっていません。今後、食味試験を行い、脂肪酸組成、アミノ酸組成、イノシン酸などと美味しさとの関連を検討する予定です。